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女子サッカー映画『クイーンズ・オブ・フィールド』で感じたフランスのジェンダー意識

フランスの女子サッカー映画『クイーンズ・オブ・フィールド』の感想です。まず、とても面白かった。女子サッカーが盛んなフランスだと、こんな映画が作られるのだという驚きがありました。そして、物語の発端が、大乱闘によりチームの全員が出場停止になってしまうという破天荒な事件だというのが私の好み。

専業主婦、シングルマザー、セレブ妻、女子高生達がクラブを救う!?

この映画では、フランスの女性達が大活躍します。どのようにして、これまでチームを戦ってきた男性達を救ったのでしょうか。その方法は……その前に、ちょっとフランスのジェンダー平等について触れておきましょう。

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ジェンダーギャップ指数は日本よりもはるかに上位

世界経済フォーラムが2021年3月31日に発表した最新のジェンダーギャップ指数において、日本は前回の121位とほぼ変わらない120位でした。G7各国においては昨年と同様の最下位という不名誉。フランスは16位でした。

自由、自由、平等、博愛の国……フランスのジェンダー平等とは?

フランスのジェンダー平等を象徴するのがフェミニスト外交です。各国がジェンダー平等を推進する活動に割り当てる政府開発援助(ODA)の割合を増やしています。開発庁が供与する資金の50%が、ジェンダー格差是正の目標を盛り込んだプロジェクトに割り当てられるのです。

また、フランスでは2000年にパリテ法が施行されました。「パリテ」とは「同等・同量」の意味です。この法律では各政党が選挙で候補者を立てる場合は男女同数でなければならないと定めています。1980年代まで、日本とフランスの女性国会議員比率には、ほとんど差はありませんでしたが、現在の女性議員比率はフランス約40%、日本約10%となっており、政治への女性参画では大きな差が開いています。

日本よりもはるかに進んだフランスの女子サッカー映画が描いた男性とは!?

●登場する男のほとんどがだらしなくて自分勝手。
●女が主体的に行動すると、それを妨害しようとする男性が現れる。
●「妻が相手チームの男と接触するなんて許せない」と嫉妬に狂う男性も。
●育児や料理が極端に苦手。
●「バカげてる」「女なのだからダメだ」とすぐに言う。

登場する男が酷すぎる。これでは、日本と大差がないではないか。最終的に、この映画が描いたのは「足を引っ張るのは男。でも、最後に応援するのも男。」ということ。

仮に日本で同じような映画を作っても、おそらく同じように男性を描くことになるでしょうね。でも、日本では監督をイケメンにするかな。そして、日本だと「突然に女性だけで控え選手を含めた選手全員の登録をする」という発想が成立しないので、やはり、女子サッカーが普及している国としてフランスの方が進んでいると感じました。ただLGBTQの描き方は、今の日本でもアウトだったんじゃないかな。偏見を含んでいましたね。

イオンシネマで4月8日まで上映しています。

日本の男性のレベルが低いわけじゃない。ただ、社会を変える意思が明確かどうかの差があるのかな、日本とフランスとでは。


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