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2022−23 YogiboWEリーグの取材を振り返る

2023年6月10日の最終節で2022−23 YogiboWEリーグが試合の全日程を終えました。今シーズンは、WEリーグ公式戦の記者席での取材はできなかったものの、JFAハウスでのプレスカンファレンス出席、FIFA女子ワールドカップのトロフィーツアーでの澤穂希さん、宮間あやさん、なでしこジャパン(日本女子代表)の公式戦の記者席、JFA主催試合である皇后杯 JFA全日本女子サッカー選手権大会の記者席、スポンサー企業や女子サッカーの現場で活躍する皆さん等、多くの取材の場を与えていただき記事を書くことができました。ありがとうございました。

https://www5.targma.jp/js/ WE Love 女子サッカーマガジン

そんなシーズンの中で思い出深い出来事を一つだけ紹介させていただきます。正確には8月のプレシーズンのことです。日テレ・東京ヴェルディベレーザが海外で試合をし、それを私は配信中継で見ていました。日テレ・東京ヴェルディベレーザが「3バックに挑戦」しているように見え、それをツイートしました。すると、戦術データの分析を生業としている人がこのようにツイートしました。

「ベレーザが3バックにトライしているというツイート見かけたのでフルマッチちらっと覗いてみたら、最初から普通に4-1-2-3で並んでて笑ってしまったw」

常にデータを見ている人、戦術分析のプロから見れば、それは4バックだったのかもしれないです。確かにスタートポジションは4人が最終ラインに並んでいたのです。でも、これまで日テレ・東京ヴェルディベレーザの4バックを見てきた私には、同じ4バックには見えなかった。正確には、ボール保持時と非保持時で片側のサイドバックのポジションが変わるプレーだったのですが、明らかに、これまでとは違いを感じたのでした。

「笑ってしまったw」とまで書かれたので、正直なところショックを受けました。自分自身の見立てにも疑問も感じました。「本当は普通の4バックなのではないか……」少しばかり自信も失いました。

シーズンが進むにつれて、新加入選手の特徴を活かした戦術は、明らかに昨シーズンまでの日テレ・東京ヴェルディベレーザとは違いを見せていきました。ボール保持時の最終ラインは、これまで4枚か2枚が多かったのですが、3枚の時間が長くなり、それは、プレシーズンに見せていたやり方の延長線上にありました。
さらにシーズンが進むと、日テレ・東京ヴェルディベレーザは完全な3バックもピッチに取り入れました。

戦術分析の専門家には4バックに見えた日テレ・東京ヴェルディベレーザの布陣。何の前知識もなく選手の立ち位置だけで判断すれば、それが正しい表現だったのでしょう。それは間違えないと思います。ただ、振り返って考えると、それでは新しい動きを発見できないのだと思います。あのとき、補強選手のプロフィールや、チームの過去の積み重ねを目の前の事実に加えて考察すれば、同じものを「3バックに挑戦」と表現しても誤りではなかったのです(ちなみに、公式情報ではDF登録は3人でした)。今、考えれば残念なのですが、あの時点の自分には、自分の解釈を正しいと貫き通す自信と知識が足りなかったのだと思います。

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023と来シーズンのWEリーグに向け、目の前の事実に何を足せば新しい動きを発見できるのか、改めて考えていきたいと思います。そして、自分の中には知識の引き出しが足りないし、自分の考えだけでは、読者の判断を手助けするほどの価値がないことも意識していきたいと思います。となると、必要なのは、さらに多くの人の声を聞き、照らし合わせ、事例を整理して伝えていく。それだけです。

ありがとうございます。あなたのご支援に感謝申し上げます。