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自分にとってのイタリア

年末くらいに鳩山町コミュニティ・マルシェの方と今後の方向性についていろいろ思案中という話をしていたのですが、年明けのランチ運営日の時に、こちらで相談してみたらいいかも?と、比企郡の起業家の支援をされているときがわカンパニーの関根さんをご紹介頂き、早速予約を取って相談に行ってみました。同じくそちらで同じような地元の支援をされている風間さんも同席されました。

音楽の仕事の他に飲食の仕事や製造の仕事をしていること、両立してこれからもやっていきたいが、やりたいことが色々ありすぎてかえって中途半端で、方向性を見失っているし、何が自分の強みになるのかもわからなくなっているということをいろいろ話しました。

音楽活動としては自分の主催のイタリアの古い音楽であるマドリガーレを演奏するグループで活動してること、その他に地元でも演奏活動をしたいし、夫婦2人で音楽教室を開いたり、アマチュアの合唱団を作ったり、地元に根付いた活動も始めたい。

飲食に関しては、9年前に友達のために糖質オフのお菓子を作り始めたのをきっかけにネットショップを始め、糖質オフじゃないお菓子も販売するようになって、焼き菓子の他にパンやパスタ、ピッツァを作るようになったこと。ご縁があって薪をくべるや鳩山町コミュニティ・マルシェでピッツァランチをやるようになったこと。

でもそもそもはカフェをやるのが夢で美味しいコーヒーや紅茶を提供したり、ラテアートの勉強もまたちゃんとやりたいと思っているし、ピッツァもまだまだもっと美味しいものを作れるようになりたい。でもそれはあくまでも音楽活動がメインであることを踏まえた上でやりたいことで、音楽活動を縮小してまでやりたいとは思っていないということ。

などなど、まとまらない中でこれまでのこと、やりたいことなどをお話してみました。

すると、方向性の一つとして「イタリア」を中心に考えをまとめてみるのはどうですかと。

やっている音楽もイタリア、ピッツァもパスタもイタリア、コーヒーもエスプレッソはイタリアだし、もうそれが私のこれまでやってきた大きな要素の1つになっているのではないですかと。

これだけイタリアに特化した活動をしてきて、何故今までそういう風に考えたことがなかったんだろうと、自分にびっくりしました笑 いやもちろん、イタリアにこだわった活動をしたいなと思ってはいたのだけど。

例えば、将来お店を持ちたいと思っているなら、ここに来たらイタリアを丸ごと感じられるような、小さなイタリアをテーマに空間を作ってみたらどうですか。ローマに留学していたなら、ローマをテーマにしてみるのも良いかもしれない。

と言われていや実は今作っているピッツァはナポリピッツァでローマのピッツァとは全然違うんですよ、という話をしたら、それってそれだけで興味深いですよ。そんな風にイタリアの食について伝えてくれたらすごく面白いと思うのだけど、と。

そういえば、私はイタリアのものを色々極めることに夢中になっていたけど、それをちゃんと伝えようとしていただろうか?

これまでピッツァを作る時はもちろんナポリピッツァ協会の本を参考にして小麦粉もイタリアのものを使ってるし、ランチを提供する時に合わせるビールもモレッティやナストロアズッロといったイタリアものだし、カフェラテを出す時のエスプレッソも、エスプレッソの美味しさにこだわっていろいろ試飲をして選んできている。

でもなんというか、ただそれだけという感じで徹底的にイタリアにこだわってきたかと言うとそうではなかったと思う。例えば日本ではイタリアに比べるとあまり日常的にエスプレッソを飲む習慣がないので、カフェラテを作る時のエスプレッソの美味しさにはこだわっているにせよ、エスプレッソは特にメニューには載せていない。食後酒のリモンチェッロも用意してあるけど、イタリアでは食事の後にエスプレッソや食後酒をくいっと飲んで消化を促したり、口の中をスッキリさせる習慣があるんですよということも特に紹介はしていなかった。

つまり、自分なりにはイタリアの文化を表現しようとしていたけど、それをイタリア文化として改めて「これがイタリアです!」と紹介するというところまでには至ってなかったんだなあ。

イタリアでの食の体験はなんというか、とても自然で、だからこそ体の中にすっと馴染んでそれがそのまま自分の食の基軸になっている。新鮮でシンプルなもので作ったものが一番美味しい、ということだ。つまりそれは素材の美味しさが大事なんだということ。

市場で買ったトマトを切って炒めたらそれだけで素晴らしいトマトソースになる。野菜も果物も安くて瑞々しくて美味しい。生ハムもチーズも日本に比べるとビックリするくらい安いし、毎日のようにバールで飲むエスプレッソ、夏になると冷たいグラニータ、冬になるとポルケッタという豚のグリルをサンドにして食べるのが美味しかった、、と美味しい記憶は尽きない笑

滞在中に他の都市に旅行に行ったりもしたけど、イタリアはその州ごとにまるで違う国かのように文化や食が異なると言われるのがよくわかる。側から見るとほとんど同じように見える料理が、街が変わると違う呼び方をされたりも。いや実際、材料のちょびっとした違いがあったりはするのだけど。

でもなんというか、その違いや、そういう時のイタリア人のこだわり、情熱、そうそうあれあれって体感としてはわかるのに、言葉にするのはなかなか難しい。それはもちろん例えば食で言えばイタリアで食べた同じものを日本で再現するのが難しいということもある。野菜も違うし、水も違うし、豆も違うし、ハムやチーズは高くて手に入れづらいし・・・。食べてもらえば、そうこれ!美味しい!!ってわかるのに。

でも、そんなことを言い訳に、イタリアで体験したことを伝えることを諦めてしまっていたんじゃないだろうか。同時に、イタリア滞在中は良い思い出ばかりではなく笑 少なからず嫌な思いもしたし(運良く人種差別のような嫌な目にはほぼ会わなかったが)イタリア人が嫌になった時期もあった(みんながみんなそうじゃないのに、イタリア人の皆さんごめんなさい 汗)。歌の勉強としても1年と少しの滞在では思うほどの成果があげられず、胸を張っての帰国にはならなかったこともあり、帰国してしばらくは暗中模索が続いてしんどい時期もあり、それが目的で勉強しに行ったはずのオペラからも心が離れてしまった。

でもその暗中模索の結果、オペラよりもさらにドラマティックとも言えるマドリガーレに出会い、仲間に出会い、夫にも出会えた笑。嫌な面もあるけど、やはりイタリア人は魅力的で愛すべきものを持っているし、イタリアの食べ物は最高だし、なんというかひとまわりしてやっぱりイタリアが好きなんだってところに戻ってきたのだと思う。

帰国して、暗中模索期から発展期を経て、色々あったけど安定期に入った今なら、また違ったイタリアを捉えることができるだろう。自分で言っちゃうけど笑 素人なりに材料にもこだわって、結構美味しいピッツァを作ることができるし、家庭用だけどちゃんとクレマの出るエスプレッソの出るエスプレッソマシーンだって持ってる。私以上にイタリアへのこだわりの強い夫と一緒にイタリア語のマドリガーレを歌う活動をしている。今こそ、自分の中のいろんなこだわりをちゃんと形にする時が来てるのではないか。

そんなことを念頭に、今年は過ごしてみたいと思います。

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