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雨のち曇り、緑の芝生に寝転んで

昨日、私の住む町の社会福祉協議会主催の
「みんなで楽しむ軽スポーツ大会」が行われました。
朝は少し雨が降っていて、中止になるかなと心配でしたが、さすがは、晴れ女の長女。開催決定です。
小雨がぱらつくなか、市の陸上競技場へ向かいます。
軽スポーツ大会は、障害のある人もそうでない人も、ともに楽しむという行事です。

この3年間、コロナ禍のため開催されず、昨年は雨で中止、なんと4年ぶりの開催です。
以前より、規模も小さく簡素になってすっきりした大会になってます。

会場は、昨日から張られていたテントの屋根にたまった雨が、ざぶざぶ落ちてくるし、芝生はじっとり湿っているし、コンディションはあまりいいものではありませんでした。

時間になり、プログラムが始まると、のそのそと整列するもの。
はっし、はっしと、すごいスピードで駆けまわるもの。
座ったきり動かないもの。
まってくれよーと大きな声で、大きな車いすを押して走る支援員さん。
などなど、参加者の個性が豊かすぎて、なかなか、進行が進みません。
それでも、何とか全員参加で、プログラムが進んでいきます。
時間泥棒さんがいないので、まったりゆっくりしています。

参加団体は、市内の知的障害、発達障害、精神障害、身体障害、聴覚障害、中途障害、重度身体障害などなど、ありとあらゆる障害者団体と事業所です。
重身の人たちのテントは、大きい車イスの人たちがたくさん。
食事介助もスペースが必要なのでゆったりめです。
そして、横には、おむつ交換ができる小ぶりなかわいいテントがふたつ。

私は長女の所属する生活介護のテントで、競技を見たり、よそのお子さんの相手をしたり。
いつもは、昼間は長女と離れて生活しているので、支援員さんと長女のやり取りを見たり、お友達と一緒にいるところを、楽しく見せてもらいました。

なんたって、楽しいんですよ。
この友達とのやりとりとか、お話が。
ユニークすぎる面々なので、いちいち面白い。
わあ、このやり取り、映画の一シーンに使えそう、とか。
一瞬一瞬が楽しくて、この時間がいつまでも続くといいなあと思いました。

何でも人にやってもらおうとするタンくんは、ドリンクゼリーの蓋を開けてほしいと、目の前にいる人に向けて手を伸ばします。
まあ、大人になっても「クレーン」はみんなやってますからね。
でも誰も、タンくんのゼリーには見向きもしないで、自分の世界に入っています。
それでも、タンくんは必死の面持ちで、目いっぱいゼリーを持った手を伸ばしています。せつないです。泣きそうです。
支援員さんが「タンくん、自分で!」というと、やっと自分で蓋を開けます。ほんとはできるんだけど。
そんなことを一日中やってます。

おおがらなていちゃんは、足を延ばして、まるでパンダのような格好でかわいいです。
ていちゃんは無呼吸症候群なので、夜よく眠れていないから、昼間もパンダ状態なのです。
和やかに会話しているお母さんたちの話も、よく聞いてみるとなかなかヘビイだったり。
「うちのだんなは何もしてくれないのよ。」と言う人に、
「あら、いるだけいいじゃない。うちなんか、だんなは出ていっちゃったわよ。」
なんてげらげら笑いながら話しています。
発作の話や、病気の話も、夕ご飯何作ろうか、みたいな感じで話してます。

お昼休みがまた長いのです。
ゆっくり食べる人や食事介助が必要な人もいますから。
早く食べ終わって時間を持て余している人たちが、トラックを走りだします。
一人、二人、十人、二十人と走る人たちが増えてきます。
陸上競技場の中は、車も走ってないし、飛び回ってはダメと注意する人もいないので、気持ちよく走っています。
お弁当を食べている人たちの周りを、ぐるぐる回って走っているので、目が回りそうです。
こういうのどこかで見たな。あ、まぐろだ。
いいなあ、こういう空間がいつもあったら、どれだけ心が解放されるだろうか。
いつも、危ないからダメとか、ひとの迷惑になるからダメとか、禁止ばかりされている多動な人たちは、ストレスだらけだろうな。

この競技場の、今日のこの時間は、障害のある人が中心の世界。
誰にも遠慮しないで、ゆっくりできる空間。
リラックスできるからか、ごろんとシートに寝転がっている人たちがたくさんいました。
世界の中心が障害のある人だったら、毎日このように過ごせるだろうか。
いや一年に一回だから、楽しいのかな。

隣の野球場からは、女子プロ野球の応援が聞こえてきます。
少しずつだけど、世の中が変わってきているかもしれません。


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