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孤独な労働             「グループホームの生活」研修会

私は市の障害者福祉課の知的障害者相談員をしています。
相談員は、知的障害と身体障害がありますが、身体障害は肢体不自由、視覚障害、聴覚障害などありますので、相談員の方もそれぞれの分野の当事者の方や、家族の方が担っています。
昨日は年に一度開催される、相談員研修会でした。
今年のテーマは「グループホームの生活」です。
現場でたくさん経験を積まれた、ケースワーカーの方が講師でした。

私自身、グループホームの見学に行ったり、「親なき後相談室」に行ったり、それなりに考えてきたのですが、昨日の研修はとても分かりやすく、制度、成り立ち、実情、これからのこと、経済的なことなど知ることができました。

「梅切らぬバカ」という映画を見た方は、グループホームに反対する近隣の人びとのようす、グループホームになじめず、家に戻ってきてしまう自閉症の方などのエピソードで、少しイメージがつかめるかもしれません。

今、グループホームというと介護保険の認知症共同生活介護のほうが、とおりがいいでしょう。
認知症の方のグループホームは私の家の近所にもたくさんあります。

昨日のテーマは、障害者のグループホームです。
一昔前までは、障害者は施設入所が主流でした。
現在は「地域生活」「地域移行」ということで、新しい施設の建設は認められなくなりました。
(しかし、施設入所を希望する人は多い。)
障害のある人も地域で生活をすることが主流になったのですが、地域生活の支援は不足しています。

「障害者権利条約第19条」によれば、
障害者が他の者と平等を基礎として、居住地を選択し及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。とあります。
つまり、障害のある人がどこで誰と暮らすかは自分で選んでいいということです。
そして強制的に入院させたり、強制的に施設入所させたりすることはできないということになります。

では、地域生活はどのようなものがあるかというと。
①自宅で暮らす。
②グループホーム。
③自立生活。「重度訪問介護」を利用しアパートなどで暮らす。
などがあります。

今、私の長女は、①自宅で高齢の親と暮らす生活です。
本人がグループホームを望んでいないからです。一度入所しましたが戻ってきました。その後、メンタルの不調などが出て、立ち直るのに時間がかかるという二次障害が出てしまいました。

実際のグループホームはいろいろで、民家を利用したものもあります。
新しく建設する場合は、地域からの反対運動がおこることがあります。
私が見学した新しいグループホームは、各部屋にトイレとお風呂が付いていました。
共有のトイレとお風呂が、入居者同士のストレスやトラブルのもとになることが多いことからです。

そして次に大事なことが「支援力」ということになります。
知的障害者のグループホームでは、重度化が進むと、不安定になる、大声を出す、けんかが起きる等の行動が出てくることがあります。
世話人が一人で、10人ほどの障害者を支援するということはかなり大変なことです。渡り廊下でつなげば、20人まで可、ということですがそんな無理なこと。
グループホームの業務が夜間に集中しているため、正規職員化が難しく、アルバイトに頼らざるを得ない場合が多くなります。
夜間、たった一人で、10人ほどの命を預かって夜勤をするのは、過酷で
「孤独な労働」とも言われています。
このような勤務状態ではストレスも多くなり、ここを解決しないと虐待問題などが発生することがあります。(実際起こっている)

今年9月の国連の「障害者権利条約」に関する日本への総括所見ではグループホームが、入所施設的にならないようにと勧告されています。
ともあれ、大声を出す人も入居できる防音設備があったり、近隣が畑とか駐車場で民家から離れているとかの立地条件など、なかなか難しいですが、障害のある人が暮らすことのできる場所が増えていったらいいのですが。

障害のある人が、安心して暮らせる居場所。
障害のある人が、安心して暮らせる社会。
それは、こどもも高齢者も、病気の人も、妊娠している人も、すべての人が安心して過ごせる社会なのです。

でも、現実はどうでしょう。
私もいつ死ぬかわからない。
安心して死ぬことは決してできないでしょう。
悲しいけどこれが現実です。
こんなに悩みを抱えた私が相談員をしているなんて。
これもまた、なんという皮肉な話。
私にできるのは、
せめて、今日一日を笑顔で過ごすこと。
そしてせめて、明日一日も笑顔で過ごしていこうと思うだけです。

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