雪の日のルートヴィヒ
今日は東京は雪です。
うちは多摩地域なので、都内より積もっています。
温度も都内より多摩地域は、3~5度くらい低いです。
長女の通う生活介護の通所は、「通常通り開所はするが、無理して通所しなくていいですよ」という内容のお手紙を昨日配布しています。
「無理していかなくていいよ。」という私に
「いきたいです。
なかなかさん(金曜に来るスタッフ)にあいたいし。
おひるも、きゅうしょくたべたいし。」
と言って出かけて行った長女。
いつもより、てきぱきと支度してました。
なぜか、毎年、雪の日は通所します。
すこし、心配なので、園に電話しました。
出てくれた職員さんは
「早めに、送っていきますから、安心してください。」とのお返事。
ありがたいことです。
雪が降ると思いだすことがあります。
長女が養護学校(特別支援学校)の高等部のころのことです。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ルートヴィヒ/神々の黄昏 復元完全版 240分」を銀座で上映していたのです。
それまで日本では、184分の短縮版しか上映されていませんでした。
ですからこれはもう見に行くしかありません。
ところが上映時間4時間、銀座までの往復時間3時間弱。
合わせて7時間。
これを、長女が下校するまでの時間に収めるのは、かなり難易度が高いミッションです。
でも、ミッション・ポッシブル。
長女を送り出し、電車に飛び乗り、すっ飛んで銀座へ。
滑り込みセーフで開演。
長い長い映画です。
私は、インターミッションが入るような長ーい映画や、分厚い本で三部作なんていう長編小説が大好きなのです。
ルートヴィヒを演じるのは、あの、ヘルムートバーガー。
当時の少女漫画家の漫画にはよく出てくる美形の俳優で、監督の恋人。
美しいルートヴィヒが贅沢三昧を尽くし、あげくに、歳を重ねて、見るにたえない姿になる。
口を開けたときの歯が真っ黒だったのです。
昔は、歯が悪いために死んでしまった人もいるくらいです。
しかし、美しい城の中で、真っ黒い歯。
なんと、リアリティーなシーンでしょうか。
そして4時間がたち、映画館の外へ出てみてびっくり。
銀座は白一色の雪景色。
私が、ノイシュバンシュタイン城で夢うつつの時間を過ごしていた間に、雪が積もっていたのです。
銀座でこれだけ積もっているってことは、うちのほうはどうなっているのだろう。
養護学校は、天候が不順だったりすると下校時間を早めることがよくあるのでした。
私の頭の中には、雪の中凍えて立ちすくむ長女の姿の映像が。
もうダッシュで帰りました。
途中の乗換駅で、長女と同じ養護学校に通う男子生徒を見かけて、
「あうっ。まに会わなかったか。」
とドキドキしましたが、うちについてみたら、長女はまだ帰っていなくて、間に合いました。
学校からは30分くらい歩いて帰ってくるのです。
ゆっくりゆっくり歩いていたのでしょう。
こんなにまでして映画を見に行く私って、いったい。