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自社ECサイトに必要なこと②

ご挨拶

本記事にアクセス頂きありがとうございます。

このnoteでは、主に食関連のご商売を営む方々に向けて、インターネット通販(EC)による販売活動の成功に必要な考え方やスキルを発信していきます。
時代背景、考え方、マーケティング、実践的スキルにいたるまで、実用的な情報を複数回に分けて配信します。


このアカウントについて

このnoteアカウントは、三重県雇用経済部中小企業・サービス産業振興課による委託事業である『インターネット通販サイト販売促進支援事業』にて運用されています。

三重県内の食関連事業者の皆様が、今後効果的にインターネットを活用した販売活動を進めるうえで役に立つ情報を発信していきます。

さて、今回からは、これまでご紹介してきたマーケティングの知識、コンテンツの知識を踏まえたまとめを中心に、「自社ECサイトに必要なこと」の2回目の内容をお伝えします。


自走化の重要性

これまでの本noteの一連の記事でも一貫してお伝えしている通り、インターネット空間で、自社ブランドを認知してもらい、気に入ってもらい、買ってもらうためには発信力・継続力がなによりも重要です。膨大な情報が渦巻くインターネット上では、1回の投稿や情報発信では周辺に埋もれてしまうのが自明です。何度も何度も情報発信を続けることで、その発信内容は資産となって、少しずつ認知の獲得につながってくるでしょう。

資本力に限りがある中で、情報発信を継続するためには、そのすべてを他人に任せていてはうまくいかないでしょう。では、自走化できるとはどういうことでしょうか。具体的には、次の事柄への対応力がポイントとなります。

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①自社のWEB戦略(戦術ではなく)を自分で立てられる

自社のWEBマーケティング戦略について、自分たちで考えることができるということです。ターゲットを誰にするか、ブランドコンセプトをどうするか、といった根幹に関わる部分です。ここは、他人では考えられない部分です。自社の中にしかないものから、戦略を検討する以上、取り組む主体は自社であるべきです。

戦略と戦術を分けている理由は、根幹である「戦略」が明確に定まっていれば、実働たる「戦術」は自ずと決まってくるからです。なので、ある意味、「戦略」に沿った「戦術」を外部パートナーに委託することもあり得るのです(コスト的な継続性の観点から、本noteでは、戦術を含めた自走化を推奨していますが)。

②自分たちでWEBコンテンツ企画ができる(適切な外部パートナーと組むことができる)

自社の戦略に沿って、どのようなコンテンツを発信するか、自分たちで考えることができるということです。噛み砕いてお伝えすると「面白い発信ネタ」を自分たちで企画できるかということです。

コンテンツの企画に関しては、自社で完結することが望ましいのですが、「発信コンテンツのコンセプト」等が明確であれば、それに沿った適切なパートナーと組むということも選択肢としては有効です。ただし、それは他人にネタづくりを丸投げするという意味ではなく、外部パートナーの発信内容が「いかに適切か」を自分たちなりの評価軸で正しく選定できることが必要となります。

③自分たちでWEBコンテンツを運用(制作・更新)できる(外部パートナーを舵取りできる)

自社のWEBコンテンツ企画を、実際にコンテンツとして制作し、発信できるということです。具体的には、テキスト、写真、動画などのコンテンツを自社内で制作し、サイトやSNSにアップロードするという一連の運用を自走化できるということです。

ただし、動画制作などに際して、一部高度な編集作業等が必要な場合に、外部パートナーを適切に活用したい場面もあるでしょう。そういった際でも、外部パートナーに丸投げするのではなく、ある程度の具体性を持った編集方針や作品の出来上がりイメージ等を伝えることができる、ということが重要なのです。

④社長がWEBコンテンツに詳しい「WEBコンテンツ担当者」になる

社長自らが自社のWEBマーケティングのリードオフマンとなることも重要です。社長は自社の経営理念や、今後向かうべき方向について最もよく理解している存在です。なので、社長自身がつくるWEBコンテンツは、自社のコンセプトに沿ったものになりやすいと考えられます。

とはいえ、社長自身がつきっきりでWEBマーケティング業務に従事することは現実的に難しいでしょう。ただし、社長自らの発信が繰り返されることによって、自社全体で「自分たちの世界観はこうなんだな」という理解が促進され、社長以外の担当者による発信クオリティが安定するなどの効果も期待されます。

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すでに、上手に外部パートナーを活用しながらWEBマーケティングに取り組んでいる事業者様もいるでしょう。
ここでお伝えしたいことは、自社のブランドの根幹の部分については、あくまで自分たちで考え、それを発信する従業員自身も正しく理解していなければならない、ということです。自分たちの商品の魅力や、つくりたい世界観を、自分たちでしっかり言語化できていなければ、外部パートナーと連携するにしても、その成果が限られたものになるでしょう。だからこそ、ご紹介したような項目に関して、ポイントを押さえながら自走化できる仕組みを構築することが必要となります。


集客の考え方

自社のECサイトでの売上を獲得するために、極めて重要な要素として「集客」があります。お客様なくして商売は成立しません。なお、ECサイトにおける集客とは、具体的にはサイトへのアクセスを指します。

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ECサイトへの集客を実現するために、とりわけ重要な要素は「集客コンテンツの制作」です。お客様にとって価値のあるコンテンツであれば、来店を促せるということになります。逆に言うと、コンテンツに価値がなかったり、コンテンツがそもそも不足していたりすると、誰もお店には来てくれないということです。集客コンテンツの制作フローは次のように整理できます。

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①コンテンツ戦略設計

ターゲット設定や競合分析を行います。また、集客方法(流入経路)や発信する商品選定など、戦略の上流部分を検討します。これは、自社ブランドのフォロワーを増やすにはどうすればよいか、ということをゴール設定のうえで検討されます。

※具体的な手法については、関連記事でも解説しています。


②コンテンツ企画立案

発信するコンテンツの企画・構成などを検討します。
具体的には、「ターゲットに正しく商品やブランドの価値を伝えるものは」テキストなのか、写真や動画なのか、といったコンテンツの構成物などについても検討します。

※具体的な手法については、関連記事でも解説しています。


③コンテンツ表現・運用設計

発信するコンテンツのディテール設計や具体的な制作を行い、発信します。戦略や企画を具現化する段階です。具体的なデザインや色、撮影・編集作業、投稿システム(ルール設定なども含む)などについての作業を進めます。

※具体的な手法については、関連記事でも解説しています。

これらの検討プロセスを経て、発信活動は「スタートライン」に立つことになります。その後、絶えずコンテンツの発信・更新を続けていく中で、成果の検証と戦略、企画の修正を重ねていくことになります。


売り場づくりの考え方

自社のECサイトでの売上を獲得するために、次に重要な要素として「売り場づくり」があります。先に述べた集客を「売上」という成果に変換する機能として「売り場」は極めて重要な存在です。

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ここでのポイントは、ECサイトで商売を行う際に小売業の概念や考え方をきちんと取り込みながら検討を進めるということです。具体的には、「MD(マーチャンダイジング)」などの考え方を取り入れることが有効です。

マーチャンダイジングとは、「商品計画・商品化計画」の意味。 お客様に商品を買っていただくために、商品の企画・開発や調達、商品構成の決定、販売方法やサービスの立案、価格設定などを、戦略的に行なう活動。

マーケティングの活動を小売・流通に特化させたような概念であるとご理解頂けるでしょう。
マーチャンダイジング、をもう少しわかりやすくお伝えすれば、
「川上から川下まで、商品を作るところから、それがお客様の手に渡るまでに起こり得る全ての事象やプロセスについて考え、それを今までよりも改善すること」

となります。
ECサイトの運営を考える際には、サイト構築などの「ハード=外側の話」とMD戦略などの「ソフト=内側の話」を並行して検討していくことが必要となります。魅力ある売り場作りのフローは、次の通り整理されます。

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①サイト戦略設計/MD戦略設計

「サイト設計」(ハード=外側の話)では、自社のECサイトをどのようなフォーマット(ブログ型、ペライチ型、外部ECサービス等)で構築するかを決めたり、必要な技術要件を定めたりします。「MD戦略設計」(内側の話)では、商品ターゲットの設定や、商品の品揃えなどを検討する作業となります。


②サイト運用計画/MD計画立案

仮に、MD戦略の中で、ターゲットが比較的高齢な方であったとしましょう。その場合、サイト設計においても、フォントサイズを大きくしたり、決済手段に代金引換を加えることなどが検討されるでしょう。
これは、サイト運用計画を考える作業の一つです。具体的にはECサイトの「デザイン」「ユーザーインターフェース(UI)」「決済フロー」などの要素の検討に大きく関わる項目です。
そしてMD戦略においては、ターゲットに合わせた「販売計画」や「在庫計画」「販促企画」等を検討、策定します。

UIとは、User Interface(ユーザインターフェース)の略で、ユーザーとコンピュータとが情報をやり取りをする際に接する、機器やソフトウェアの操作画面や操作方法


③保守管理/販売サービス

売り場を作った後には、その保守やメンテナンス、アフターフォローなどが必要となります。「外側の話(サイト設計)」であれば、セキュリティやエラーへの対処、サーバー管理等が該当します。また、「内側の話(MD戦略)」であれば、問合せ、返品、クレーム対応などの運営に関することです。

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このように、ECサイトの設計にあたっては、「外側の話(サイト設計)」と「内側の話(MD戦略)」を交互に行き来させながら構築していくことが必要です。
そのうえで、絶えず提案や更新を繰り返していくことが求められます。例えば、フェアやイベント、セール、クーポン、商品構成、バナーなど、ターゲットの行動や時期の変化に伴って、柔軟に売り場を対応させていくことが必要でしょう。高頻度での更新を重ねていくことが必要であるがゆえに、売り場づくりに関しても、自走できる領域を増やしながら、クイックに対応できる体制の構築が望まれます。


戦略設計

概論、各論を含めて、様々な角度からECサイト構築に関する考え方をお伝えしてきました。その中で、「〇〇戦略設計」という言葉が頻出していましたが、端的にお伝えすると、戦略を考えるうえで最も重要なポイントは次の2点です。

①対象顧客の絞り込み

②差別化(オリジナリティ)

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マーケティング領域では、実に様々な戦略設計手法が存在しますが、上記の2つの視点は、かなり広い範囲の論点をクリアにしてくれると思われます。

要するに、
今までこのnoteでも使用してきた言葉を使えば、
「ペルソナを定めて、その声に寄り添う」

「他にない自分たちの価値を明確化する」

ということです。
この2つを徹底的に考えたうえで、テキスト、写真、動画などのコンテンツとして継続的に発信することで、お客様にとって価値のあるコンテンツとしていきます。価値のあるコンテンツは集客をもたらし、価値のある商品は顧客にベネフィットをもたらすので、具体的な購買につながるという訳です。

逆に、ここさえ定まれば、その後の具体的なアクションは、先述した集客や売り場づくりの考え方に照らして、コツコツ作業を進めて行くだけなのです。もし、なかなか成果がでないという状況であれば、

・「ペルソナ設計が正しくない」(もしくはペルソナの好む情報以外の情報ばかり発信してしまっている)

・「差別化(オリジナリティ)の設計が正しくない」

・「継続が不十分」


など、改善すべき領域がどこなのかを仮説的に考えて、改善作業を進めて行きます。顧客(ペルソナターゲット)に対して、価値のあるものを届けていれば必ず成果は出ます。そうでない場合は、修正すべき領域が必ずあるはずです。仮説→実践→改善のサイクルを継続的に回す先には、必ずや成果があることでしょう。


まとめ

今回は、ECサイトに必要な事として、重要なポイントを中心に網羅的にお伝えしました。お伝えしたいことを再度整理します。


・戦略を考えるうえで、重要なことは「対象顧客の絞り込み」と「差別化」。

・ECサイトの構築・運用を考える視点は「集客」導線の作り込みと「売場づくり」へのこだわり。

・「集客」は魅力あるコンテンツの発信で実現される。まずは絶えずコンテンツを発信し続けることが必須。そしてターゲットが「欲しい情報」を出すことを常に心がけて。

・「売り場づくり」はサイトの設計と、売り方(MD)の組合せで実現される。絶えず売り場を更新し続けることが必須。

・すべてに通ずる必須要件は「継続力」。継続力を担保するためには、一連の活動を内製化し自走化することが必要。


これらの要素を実現するためには、企業の規模はそれほど大きな問題にはなりません。ここで語られている「継続力」や「発信力」の障害になるものは何か、
WEBマーケティングがあまりうまくいっていない事業者さんの中には「今までやってきたことと違うから」「本業とは異質の作業だから」と言う方は少なくありません。

ECサイトで成果を出す、と言うことは、
「今までやってこなかったことをやる」「自分でやる」ことに大きな覚悟と情熱を備え、そのための新しい考え方や働き方を導き出せる会社さんだけが掴めることなのかも知れません。

皆様自身の素晴らしい商品やブランド、そして関わる人たちの魅力を今一度「掘り起こし」「棚卸し」してみてください。
きっと、眩いばかりの宝石に磨き上がる「原石」がそこにあるはずです。

ECサイトの運営を行って頂く先に、皆様のご商売の発展があることをお祈りして、本記事を結びたいと思います。


ここまでお読みいただきありがとうございました。



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