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ECサイトがGA4(Google Analitics4)を導入すべき理由

みなさん、Googleアナリティクスは使っていますか?
WebサイトやECサイトでアクセス解析ができるGoogleの無料便利サービスですね。

今回このGoogleアナリティクスがバージョンアップして「GA4(Google Analytics 4)」となり、それにともなって現在のアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)は2023年7月1日をもってサポート終了されるとのことです。

そろそろ、みなさんのショップにも、新しいGA4用のタグを貼り付ける対応が迫られているかと思います。


とはいえ、これまで旧アナリティクスを使っていたショップさんや制作業者さんからすると、

「は?GA4?なにそれ、美味しいの?」
「いまでもアクセス解析できてるのに、なんでわざわざそんなことしなりゃいけないんだよ?メリットは?」
という気持ちも心のどこかにありますよね。

もちろん、

「Googleさまの、言うとおり~!」
「なんかアナリティクスがアップデートされるんだって~。」
「このタグ貼っといて~。」
「へへぇ~、御意!」

みたいに、
「とりあえず貼り付けておこう!」で終わらせてしまうこともできちゃいますが、せっかくですので僕も今回あらためて、GA4のことをじっくりと調べてみましたので所感・考察・見解もまじえて報告いたします!


要点はこの2点

じっくり調べていくと、いろいろと機能改善は行われているようですが、
僕が調べたところでは、要点は2つなのではないかと考えています。

  1. 各国の個人情報保護法に適切に対応するため

  2. AIを使って未来のアクセス予測を可能にするため

この2点は、じっくり読み込んでいくと
「データ取得しづらくなった」ようにも解釈できるし、逆に、
「より正確なデータが取得できるようになった」とも解釈できるので、少し理解に苦しみました。

「一見すると相反しているのでは?」と思ってしまう面も多々あったのですが、
よくよく理解していくと、実はこの逆の要素はとても上手く繋がっていたし、ECサイトのメリットにも繋がっていくんだな。
というのが分かってきた、というのが現在の所感です。

いったいどういうことなのか?
それでは、具体的に見ていきましょう。


1.個人情報保護の規制を受けての対策

今回のGA4ついては、Googleさんにとってもやむを得ず「データの取得方法を変えざるを得なかった」というのが実のところ、本音なのではなかったのでは?
と、個人的には推測しています。
(公式にはそんなことは言っていません)

というのも、ニュースなどでも耳にしたことがあるかもしれませんが、昨今Webサイト上でのプライバシー問題がどんどん増えているからです。

「インターネットを使ってると、勝手にデータって取られてるの?」
「いろんなデータをつなぎ合わせると、個人情報がバレるんだって!?」

ユーザー側からすると、そんな疑念や不安がありますよね。

そういった問題を発端として、
EUでは「一般データ保護規則(GDPR)」という法律が作られたり、
アメリカ・カリフォルニア州では「消費者プライバシー法(CCPA)」という法律が作られたりしました。

そして、「破ったら罰則ね!」
・・・といった感じで、各国でインターネット上での個人情報保護の取り扱いに対して、厳しい規制が課せられるようになりました。

こういった規制によって、Webサイトがアクセス解析で使っていたCookie(クッキー)の利用に対して、同意を得ることが必須となったのです。


Cookieって?

Cookieじたいは決して悪い技術だったわけではなく、古くからユーザーが再訪問したかどうかを判定したり、ユーザーの好みに合わせたコンテンツを提供したりするために使用されてきた技術です。
ECサイトを運営する上では、必須になる技術でもあります。

しかしこの技術は、前述のように第三者が悪用してしまうとプライバシーを侵害する懸念があり、GDPRによりユーザーが自分たちのデータの取り扱いに同意しなければならないというルールになりました。

そうなると、これまで上記のような
「データを取得してアクセス解析や広告配信できますよ!」
ということをウリにしていたGoogleさんからすると、
「え~!データを取得しちゃダメなの!?」となりますよね。

そこでGoogleさんが考えたのが、
「じゃあ、Cookieを使わずにアクセス解析できるようにしちゃおうぜ!」ということと、
「データ取得の同意や解除もできるようにしておこうぜ!」ということ。

これが今回のGA4の、メインテーマだと思っていただければ良いでしょう。
これまでのような単なるアップデートや機能改善ではなく、アクセス解析の根本となる「データの取得方法」から抜本的に見直したという点が大きいわけですね。

だからこそ、Webサイトに貼り付けている「タグ」じたいを新しいものに貼り替えてもらい、データ取得そのものの"手法"を変えていく必要があるのです。


GA4の個人情報対策

では、GA4ではどのようにしてCookieを使わずに、アクセス解析のデータを取得できるのでしょうか?
アクセス解析といえば、まず最初に知りたいのは

  • ページビュー(何回そのページが表示されたのか?)

  • ユニークユーザー数(何人がそのページを表示したのか?)

ですが、
当然、Cookieを取得できないということは、正しいデータは取得しづらくなりそうですよね。
特に「初回訪問か?再訪問か?」が分からなければ、ユニークユーザー数なんて正しく取得できません。
さらに、データ取得に同意してもらわなければ、アクセス数すら取得できません。

この点でおそらく、旧GAとGA4とでは、測定されるデータ数は変わってくると思われます。

このあたり、Googleの内部仕様なのでどうにもふわっとした情報ばかりで明確な情報は得づらかったのですが、いろいろな記事を参照していくと、どうやら以下のような手法で対応していく様子です。

  1. ECサイトのログイン情報で確実に判定する。

  2. Googleのログイン情報を手がかりにする。

  3. デバイス情報を手がかりにする。

  4. AI予測を手がかりにする。

上記を細かく解説するとキリがなくなるのですが、ざっくり言うと、
「このスマホ時代、1人1端末持ってるからデバイスをユーザーと見なしていいんじゃね?」
「デバイスをユーザーとすることで、逆に同一ユーザーだと判定しやすくなったよ!」
「正確なデータは取得しづらくなったけど、AIが補完しちゃうよ!」
「もっと正確なデータを知りたければ、ECサイトのログイン情報との紐づけ設定をしてね!」
ということなのではないでしょうか。

これにより、データ測定の精度は悪くなるのか?高くなるのか?
というのは、全ユーザーに協力してもらわないと我々には判別しようがありませんよね。

おそらくですが、
Googleまかせにしてしまえば前よりも精度が悪くなる。
という可能性もじゅうぶんあると思われますが、
きちんとECサイトの情報と紐づけ設定をしておけば、むしろ精度は高くなる。
のではないかと、個人的には予想しています。

つまり、
「この日に、何人アクセスされたか?」といったざっくり情報で良ければ、細かい設定なんていらないし、
もっと正確に情報を取得したい場合には、ECサイトのログイン情報を紐付けことができる。ということですね。

「そうすれば、スマホを見た後にPCやタブレットに切り替えて購入されたとしても、同一ユーザーだと判定できるよね!」
「結果的に、前よりもっと便利になったね!」

ということですね。

個人情報規制による逆境すらも、逆にチャンスに変えていこうとする、Googleさんの学ぶべきレジリエンスが感じられます。


GA4にはタグマネージャーでの管理がおすすめ

これまでの旧アナリティクスではGoogleタグマネージャーを使っていなかった人も多いかもしれませんが、GA4導入を機にタグマネージャーで管理を始めたほうが良いでしょう。

というのは、タグマネージャーには「タグの配信時に追加同意が必要」というオプションにチェックを入れることができるようになっていて、事前にユーザー側に同意を促すことができる機能があるのです。

最近のWebサイトにアクセスすると、「Cookieの利用に同意しますか?」といったポップアップを見かけることがありますよね。

各国の個人情報規制では「データを取得してはいけない」わけではなく、ちゃんと「ユーザーに同意を得る」ことができていれば問題ないので、この同意ポップアップがそれに対応していることになっているのです。

おそらく日本でも、これから海外と同様の規制や罰則の流れが来ると予想されますし、そもそもWebサイトというのは全世界中から誰でもアクセスされることを前提としていますので、「日本のサイトだから」といって放置すること自体がリスクとも言えてしまうのです。(越境ECならなおさらですよね。)


ここまで読んでみると、
「なんだよ、個人情報だのなんだのって、めんどくさいな~。」
と思われたかもしれません。

ですが、実はGA4にはショップ側にとっても大きなメリットになるものが新しく追加されました。

それがAIの導入です。


2.AIを使って未来のアクセス予測が可能になる

GA4のもうひとつの大きな変更は、AIによる未来のアクセス予測が可能となっている点です。

これについては、まだまだ発展途中だと思いますが、
どこまで使いこなせるのかはショップさんによって差が出てくると思いますので、宝の持ち腐れにならないように今からぜひ準備しておきたいところです。


具体的には、このような機能が用意されているそうです。

1.推定コンバージョン

この機能は「過去~現在に関するAI」だと思っていただけると分かりやすいかと思います。
たとえば、デバイス間のユーザー遷移やデータ取得の拒否などの理由でユーザーを特定できなかったとしても、あるていどAIが推測して数値化してくれるとのことです。

2.予測指標

この機能は「未来に関するAI」だと思っていただけるとイメージしやすいかと思います。
GA4で集めたデータをもとに、未来の「購入の可能性」「離脱の可能性」「予測収益」を教えてくれるとのことです。

Google公式サイトより


GA4のAIを活用するには?

すごい!え、じゃあ、ここまで予測できるのなら、
このデータを活用して
「あなたにはこの商品がおすすめです!」
といったレコメンド機能を実装できるのでは?

と思ったのですが、残念ながらGA4にはそういったレコメンド機能は用意されていないようです。


一方で、Googleの広告配信ツールであるGoogle Adsとの連携は可能になっており、ここでAI予測が活用されるようです。
ということは・・・?

  1. まず、GA4でデータ収集。

  2. 次に、GoogleのAIが売れそうな商品を予測。

  3. そして、売れる見込みが高い人にベストな商品の広告を配信!

という一連の流れを作ることができるようです。
これで無駄なく効果的に狙ったユーザーに広告配信ができる!ということですね。

そう思うと、やはりGoogleって広告収益モデルの会社なんだな~と実感します。

Googleからすると
「GA4でECサイトを高機能にしてあげるよ!」ということをやりたいわけではなく、
「そのデータをぜひ我が社の広告配信に活用してくださいね!」ということです。

「さぁ、みなのもの。」
「ECサイトの会員IDをアナリティクスのデータに繋げて、広告配信に活用するのだ。」
「それでこそ、GA4の真価が100%発揮されるのだ!」

という仕組みになっているわけですね。


まとめ

Googleさまの思想や思惑はさておき、ショップ側としてもせっかくGA4を導入するのであれば、その機能をじゅうぶんに活用したいところですよね。

そのためには、ただ単にGA4のタグを貼り付けるだけではなく、以下のようなデータ取得・活用を心がけると良いでしょう!

  • GA4はタグマネージャーで管理しておく

  • ユーザーがデータ取得を同意できるようにしておく

  • ECサイトの会員IDをGA4に紐づけておく

  • GA4のEコマース機能で購入データを取得しておく

  • Google広告用に商品フィードを出力させておく

  • Google広告にGA4を紐づけておく


「データ取得の同意」などは一見、ショップ側のデメリットにもなりそうに感じるかもしれませんが、

「このサイトは安心・安全にご利用いただくために、個人情報の保護に努めております。」
「データの取得に関しても、ON/OFFを切り替えていただけます。」

と書かれていたら、安心感・信頼感に繋がりますよね。
実際、ショップ側からすれば「データ収集」にこだわるよりも「売れる」というほうがよほど重要なわけです。

そして仮に、データが取得できなくてもGoogleさんがAIで予測してくれるわけで。

「だったら、信頼感をとるよね!」
と思うのですが、いかがでしょうか・・・?

あの煩わしい同意ポップアップも、もう少し日本語の表現をうまく考えることで「サイトの信頼感」というメリットに逆転してくるのかもしれませんよ。


ということで、今回はGA4(Google Analytics 4
)について取り上げてみました。
また良い活用事例がでてきたら、随時シェアしていきたいと思います。

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