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時は本当に来た!今、神の力でフェチ系の主役は巨大美少女ヒロインと成る!

・はじめに

昨年書いた記事「時は来た!今、フェチ系の主役を狙う巨大美少女ヒロインを堪能せよ。」その後に書いた「今一番の巨大美少女ヒロインの生活が尊い!『ちっちゃい島のでっかいガール』」と最近は巨大美少女ヒロインマンガを色々と読んでいる。

やはりどうもこのニッチなジャンルはWEBマンガサイトの増加により、色々なサイトの柱のひとつとして増加しているようなのである(中には自らニッチを謳う稀有な存在の青騎士のような実本マンガ誌もあるのだが)。

※ 実本とは筆者が個人的に使用している、いわゆる「紙の本」のコトである。


そして年開けすぐの2023年1月7日、新たなる巨大美少女ヒロインマンガの単行本が発売されたのだ……物凄い傑作になる匂いのする……。


・巨神姫戦記(きしだしき・新潮社・くらげバンチ)



「神と人間が巫船という地を飛ぶ巨大な屋形船で、巫(ムラ)単位で生活する日本の神話に似た世界。ツチマルは妹のハナバ達人間と巨大な神である彦様に巨大魔獣から守られながら暮らしていた。

人間の弱さに絶望するツチマルだが、魔獣を倒すためには神の力とともに人間の作る刀が必要だった。護られる存在から神と戦える存在と成りたいツチマルは刀鍛冶のカヌチに弟子入りする。

だがしかし、ツチマルの住む巨大屋形船『スクモ巫』にカヌチの打った刀の通らぬ魔獣が。ツチマルは全てを……いや、刀鍛冶の技術だけは手に残った。

そして時は過ぎ、青年と成ったツチマルはタケホムラヒメノミコトという若き巨女神、そしてエンジという名の鸞(ラン・人の顔を持つ鳥)と旅をしながら刀鍛冶の技術を磨く。

あの魔獣「たち」を追う旅……」


強烈なオリジナリティを持つマンガである。事実上のプロローグである1~3話には進撃の巨人的な部分もあるし、古代日本的バトルは古代戦士ハニワットのような感もある。いや、むしろ神々と人間の近さ、神の武器を作るなどの部分は稲作ゲームとして同人製作から大ヒットゲームとなった「天穂のサクナヒメ」あたりの影響にも感じる。

でもそんなの関係ない。そこにあるのは圧巻のオリジナリティ。地を飛ぶ大型屋形船なんて発想がそうそうあるものか(あったら困る)。しかもそれが巫(ムラ)≒村であり、船の中に巨大な人型の神様が巨大なまま棲んでいるのだ。そんな巫(ムラ)が神の数だけ存在する世界。その設定だけでゾクゾクする。

刀鍛冶の場面では作業用のロボ的なものも出て来て、心の中の和のセンス・オブ・ワンダーを引き出してくれる。それ以外にも大型屋形船の動力や船内の溶鉱炉、レーダーの代わりを受け持つ鸞など、和の中に調合されるSF成分も素晴らしい。

バトルシーンは人型と異形の巨大格闘をしっかりと描いており、かつ巨大美少女ヒロインマンガで大事な「サイズ感」を保つため、格闘の中に人間が混ざるシーンも多い、さらに神に護られる大型屋形船が画角にちょくちょく入り巨大感を増幅していく。古代ベースの話で大型屋形船以外の比較対象物が少ないハンデを大型屋形船という設定の妙で補い、さらに画を高めているのである。

怪獣から戦い、逃げるバトルはとてもシリアスである。その中でややポンコツなタケホムラヒメノミコトの笑顔がとても映える。そしてそんな笑顔の後ろでその巨大な神の髪を結うツチマルの哀愁……。

現在、くらげバンチで近々の作だけでなく1~3話まで公開されているので是非読んで欲しい(その部分では巨大美少女の活躍はないが)。今後の展開に物凄く期待する作品である。



・少女70M(岩田ナヲヤ・GANMA!)


「突如巨大化能力を得たおっさんギャグの愛好者兼遅刻魔、黒部ヒナコは一般に対する広報活動に熱心な謎の組織MDRの切り札『ななまる』である。巨大化時に通信用等のためのマスクを着用しているためMDRの地下鉄中吊り広告になっても無問題。担任教師や怪獣バカの幼馴染ソウタにもその正体はバレてない。

巨大怪獣出現時にはMDRの総責任者ミスティやおやじギャグ好きオヤジの古川、イケメンの山本などに助けられ、街の各所に作られた更衣塔で着替えて出撃する。

ななまるの武器はMDRの開発班長が作る『極超単分子チェーンソー』。一見刀のようなそれは超高速振動他で怪獣を切りまくるのだ……多分。いけ、ななまる、頼りにならない自衛隊と一緒に巨大怪獣から街を、人々を守るのだ!」

コミックガンマで隔週連載中の少女70Mはタイトル通り身長70mの巨大美少女ヒロインが突如出現する巨大怪獣と戦う、巨大美少女ヒロインの王道のような物語である。

普段はポンコツのヒナコだがななまるに変身……お着換え後は武人な集中力で戦うのである(武人、いい響きだ)。

ややギャグ要素が強いのだけど、この作品、実は怪獣の設定にやたらと深みがある。登場怪獣には皆バリアがあるようなのだが、その他にも二手・三手ある怪獣であり、その設定を使ったバトルはかなり面白い。

普段はポンコツ設定なので絵も普段は少し隙がある感じがあるのだが、ピッチリスーツに着替えたななまると怪獣と武器のキメ絵についてはかなりディテールに優れた質感の高い絵を見せてくれる。

スピード感あるガチバトルとポンコツな日常が心地よい。


・超弩級少女4946(東毅・小学館)<完結済>


「純粋に女の子が大好きな飛田マコトは今日もフラれていた。女の子に小さなウソもつけないマコトはすぐに誤解されるのである。

そんなある日、マコトの学校を巨大怪獣が襲う。自衛隊が何も出来ない中、マコトを救ったのはやや質素な薄着の全長49m46cmの巨大美少女、衛宮 まなであった。

怪獣に対して何も出来ないが、とりあえずピンチになったまなを守ろうとした飛田マコトに対してまなは好きになったと告白する。ここに超身長差カップルが誕生した……のだ。

あっという間に夫扱いされるマコトはまなの家(という仮設っぷりが激しい研究所)で国土交通省の土田という怪しい男に世界はずっと宇宙生物と戦っていたという秘密を聞かされる。そしてまなは日本を守る高位生命体、通称カテゴリー『D』という存在であると……」

怪獣と戦う巨大美少女、サイズに悩む巨大美少女、身長の超格差恋愛、そして人間より高位の人類の護り神と呼ばれる存在。巨大美少女ヒロインマンガの全部入りのこの作品は既に完結。週刊少年サンデー超に2009年から2011年まで連載されていた(全6巻)。

全部入りだが、そこに綻びはない。やや強引な設定はあるかもしれないが、超弩級身長差カップルとしての愛で全てカバーしている。途中から出るまなの秘密、そしてそれを解決してパワーアップする独特な解決策。身長差を逆手に使ったそれは素晴らしい。

途中から増加するキャラクター、キレキレなマコトの妹やどこぞの秘密工作員、追加のカテゴリー『D』のみなヤバくて熱い!

そしてキャラが揃った後半は本当に超弩級なスケールの話となる。ひたすらまっすぐに生きるマコトとマナ、そして地球はどうなるのか……。巨大美少女全部入りの傑作なので是非読んで頂きたい。



・おわりに


前述したとおりWEBマンガサイトの増加によってさまざまなニッチなマンガが増加している。そんな中で巨大美少女ヒロインのマンガが目立って見えているのは自分だけだろうか?

いや、多分そうではないのだ。巨神姫戦記のような今までにない新しい設定の巨大美少女ヒロインが登場しているのはそのニッチなネタを拡げようとするマンガ家と編集者が増加しているからではないだろうか?

前回の記事「2022年の個人的マンガまとめ」にチラっと書いたビックコミックスペリオール2022年24号の読み切り「すすきののバニーガール店で打ち合わせ」(箕田海道)のような作品も生まれている。

これは巨大美少女+バニーガールというニッチでフェティッシュなものを足したホラーでギャグな悪魔合体的作品だったが、かなりインパクトのある読み切りだった(多分、夜のすすきのを歩いてる人には特に)。

巨大美少女ヒロインマンガはこれからも増えるハズだ。伝統的かつ新たなるニッチな世界への参加者に成る読者も、さらに多数増えるコトを期待したい。

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