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佐渡汽船のマーケティングトレースをしていたら結局BizDevになった話

マーケティングトレースのイベントが良かったので思わず初noteを書きます!

※「マーケティングトレースって何?」という人は↓が詳しいです。

今回はマーケティングトレースforローカル in新潟ということで新潟が誇る佐渡汽船を題材にマーケティングトレースをしていきます。

最初の30分で説明を受け、30分でもくもく会的に1人でマーケティングトレースをし、もう30分でグループで互いの成果物を持ち寄り、最後の30分で発表のような配分のタイムテーブルでした。(若干誤差があるかも知れません)

マーケティングトレースの産みの親である黒澤さんの書籍はこれまでに2冊読んだことがあったのでマーケティングトレースがどんなものかは知っているつもりでした。

とは言え、知っていることと、できていることは全く違うもので、30分でやろうとすると本当に時間が足りず課題の④や⑤などはほとんど手つかずでタイムアップとなりました。

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思考のメモと次にマーケティングトレースをするときのためにプロセスを書いてみます。

【前提】
まず僕自身の佐渡汽船とのかかわりは以下の通りです。佐渡にアクティビティや仕事があって佐渡に行くために佐渡汽船を利用しています。

(1)小学校の修学旅行でカーフェリー(往路)とジェットフォイル(復路)に初めて乗った

(2)佐渡ロングライド210に4回参加した(ジェットフォイルにロードバイクを500円で乗せられて感動しました)

(3)仕事で​​5回訪問、うち1回はそのまま関西へ(時間帯によって新潟駅行きのバスが30分間隔なのでタクシーを利用しました)

(4)新潟ベンチャー協会の佐渡合宿に参加した(カーフェリーの中でミーティングやメンタリングが行われて移動自体が有意義でした)

利用22回のうち、カーフェリー利用4回、ジェットフォイル利用が18回で自動車搬送は0回です。

【佐渡汽船の経営理念】

佐渡航路において安全・確実・快適な運航を永続的に提供することで、お客様、並びに社員の生活を物心両面で豊かにし、地域社会の発展に貢献します。

”佐渡航路”と明言していました。社名からも当たり前と言えば当たり前ですね。

【①外部環境分析】
政治について

・佐渡は特定有人国境離島地域に指定されているため佐渡汽船にも補助金がつきやすく、交付金が出る

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他にもありますが、ほとんどが「佐渡」に関わるものが多く、佐渡汽船ではありませんでした。佐渡ありきです。

技術について
技術についてもクリーンエネルギーが中心ですので佐渡汽船というよりも造船会社の領域と解釈しました。

【②競合の定義】
業界競合について
敢えてあげるとすれば2022年中の就航が予定されているトキエアです。新潟空港-佐渡空港が結ばれればジェットフォイルと競合する可能性があります。

価値競合について
ここで途方に暮れます。佐渡汽船の価値って何だっけ?どんな強みがあるんだっけ?佐渡の価値は思い浮かぶのですが、佐渡汽船の価値が思い浮かばず、苦し紛れに粟島汽船や信濃川ウォーターシャトルを挙げましたが、違和感だけが残ります
このまま続けるとまずいと思い③④⑤を飛ばして成功要因を調べることにしました。

【⑥トレース企業の成功要因を分析】
これはシンプルに「独占」と判断して良さそうです。似たような事例としてイースター島間発着のエア タヒチ ヌイラタム航空がありますが、何れも距離の割に料金は高額です。
一方で佐渡汽船は極めて良心的な料金を維持しているなぁと思って調べたら衝撃的な記事を見つけました。

佐渡汽船、島民割引でも高い?
https://www.niigata-nippo.co.jp/moretoku/20210829638543.html

国から調整金が支給されていてJR並の運賃の実現を求められているものの燃料価格の高騰や業績不振で値下げできないようです。

さらに調べていくと今年に入って27億円の債務超過に陥っていて営業停止の危機に瀕していることが判明しました。

はっきり分かったのは現在の佐渡汽船に必要なのはマーケティングの打ち手ではなく、事業再生の打ち手だということです。

事前の質問で黒澤さんから2022年から2025年を見据えるようアドバイスをもらっていたので僕が佐渡汽船の中期経営計画を作成するつもりで調査を進めました。

早速、コーポレートサイトでIR情報をざっと眺めましたがやはり痛々しかったです。

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そんな苦しい中の営業収入のうちでも前期比の減少率が低い科目が「貨物運賃」と「その他事業収益」です。外的要因の影響が少ないのでしょう。
であれば方針は以下の3点に集中すると筋が良さそうです。

(1)貨物を増やす
(2)乗客向けに運賃以外のその他事業をクロスセルする
(3)非乗客向けにその他事業を拡大する

仮説を立てる前に現状を分析していきます。

【③ターゲティング/重点顧客】
年齢/性別について
乗客の属性は佐渡観光交流機構のレポートが参考になります。
データを見ていくと島民以外の来島者のうち7割以上が男性で29%が40代、26%が50代でした。

行動特性や嗜好性について

来島目的の内訳データが見つからなかったので憶測ですが40代、50代の男性が突出していますので、釣りやゴルフ、トライアスロン、サイクルスポーツなど比較的富裕層が来島しているように見受けられます。

【⑦自分がその企業のCMOだったら】

名著「マーケッターのように生きろ」ではマーケティングの手順を以下の4ステップとしています。

STEP① 市場を定義する
STEP② 価値を定義する
STEP③ 価値をつくりだす
STEP④ 価値を伝える

まずは「(1)貨物を増やす」のマーケティングから

STEP①市場の定義:アリババやタオバオから個人輸入してAmazonやヤフーショッピング、メルカリShopsまたはShopifyを利用して販売したい人。古町をはじめとする県内商店街の人たち。


STEP②価値の定義:中国輸入代行・仕入れ代行から輸送、在庫管理、注文受付から物流までワンストップで提供することで手間とコストを圧縮する。ほとんど知識がなくても出店できる。

STEP③価値を作り出す:台北/台南/上海便の就航、余剰人員によるフルフィルメントサービス立ち上げ、万代島多目的広場を在庫管理倉庫として有効活用、パッケージデザインも受託して輸入した物品を自社ブランドとして展開できるプラットフォームを整備する。新潟の特産品も台湾や中国に輸出することで補助金も獲得。

STEP④価値を伝える:越境EC拠点として佐渡汽船をリブランディングする、Amazonや楽天、ヤフーショッピングで既に中国輸入ビジネスをしている販売者をリストアップしてアプローチする。県内の商店街に対してECコンサルから入る。

次に「(2)乗客向けに運賃以外のその他事業をクロスセルする」ですが、時間切れで詰めきれませんでした。
間違いなく言えるのは佐渡に行くための手段でなく、佐渡汽船に乗ること自体が目的となる必要があります。
九州のななつ星のように佐渡汽船ならではの学び、遊び、体験などのコンテンツが乗船前、乗船中、乗船後に提供できれば勝機が見えます。
好き勝手を言うは易しですね。
と、ここでタイムアップ

30分という短時間で調査と思考を何度も何度も繰り返しましたので「マーケターにとっての筋トレ」の意味がよーく分かりました

明日はきっと筋肉痛ですが、とても楽しかったのでまた参加したいと思ってます。
黒澤さんやデルタ新潟のスタッフの皆さんに感謝です。ありがとうございました。




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