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白人は孤独な黒人を救う、のか? -グリーンブックを観て-

今日書いているのはひろです。好きな映画は主に洋画系です。

さて、10連休のゴールデンウィーク中に、2018年アカデミー作品賞の「グリーンブック」観てきました。

グリーンブック予告編

"ストーリー" 
舞台は人種差別真っ只中の1962年のアメリカ。
イタリア系アメリカ人のトニー・リップは、黒人ピアニストのドクター・シャーリーのアメリカ南部演奏ツアーに運転手として雇われることになった。黒人に偏見があったトニーだったが、ドクターの天才的なピアノの才能と孤独に次第に惹かれていく。

絶賛の嵐

さすが、2018年のアカデミー作品賞を取っただけあって、ヒットしている。この映画を絶賛する人は多い。

”「グリーンブック」興収18億突破! 吹き替え版が緊急製作、声優は大塚芳忠×諏訪部順一 ー映画.comニュースー”
”人種の垣根を越えて友情の育つプロセスが、多幸感をくれる ー映画.com 映画評論”
”アカデミー賞作品賞『グリーンブック』ファレリー監督「笑いこそ、人をつなぐ人生の贈り物」ーmovie walkerー”

笑いあり、友情ありの映画である、が

確かに、この映画はハッピーエンドだし、最近のアカデミー賞作品にありがちな難解さは全くない。ひょうきんで素行の悪いトニーの憎めない、頼りになる親分キャラと、ドクターシャーリーの几帳面さというか、教養のある格好良さに惹かれる。二人の掛け合いを楽しみながら、ストーリーに散りばめられた人種差別や孤独というテーマに考えを巡らすことができる。

多くの人の共感を呼んでいるのは、あの時代に横たわっていた当たり前の人種差別(実際トニーは黒人を嫌っていた)の雰囲気を、個人の友情や、良心が打倒できるというストーリー設定にあるのだと思う。最終公演のシーンはスカッとするね。

しかし、しかしながらである。この問題ってそんなに簡単だっけ?という疑念が、観終わった後にふつふつと浮かぶのである。確かに、いい話だ。ドクターシャーリーは無事に南部のツアーを達成し、トニーという友人を見つけられた。トニーは人種差別を行わなくなった、めでたしめでたし。実話だし。

でもトニーいい奴すぎないか?アカデミー作品ってもう少し、なんというか答えが見えない問題提起みたいな感じで終わる映画を提示すると思っていたけど。なんなら最後のクラブでドクター殺されちゃうのかなと心配していた僕は少し拍子抜け。

と思っていたら同じような批評を見つけた。

"批判の背景には、黒人を差別から救う救済者"として誇張された伝統的すぎるキャラクターだったこと" ーwikipediaよりー

こういうのを「白人の救世主」と表現するらしい。

白人の救世主は、メシア的な存在として描かれ、救出の過程で自身についてしばしば何かを学ぶ。ーwikipediaよりー

なるほどねえ。人種差別と映画はいろんな要素を含むみたいだ。逆にそういう問題を認識した上で、作られた映画なのかも。どうなのかな。

ということで、非常に勉強になったので紹介してみました。とはいえ、ひねくれ者にはあれだけれど、素直に個人の物語としてはハートフルな映画で、面白いし、教養になるものには間違いない。一度観ることをオススメ。

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