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思い出は誰のために

ふとしたきっかけで思い出が
ポロポロとこぼれ出した。

息子たちふたりは幼い頃は
電車が大好きだった。

実家に行くと
母はひとりと手をつなぎ、
ひとりを抱き抱えて
線路に電車を見に連れて行ってくれた。

遮断機の降りる音、
目の前を走り抜ける電車に
延々と興奮するふたり。

田んぼと線路と踏切だけの場所、
おやつを持参で眺めていた。

なかなか満足せず、
わたしが迎えに行くと渋々帰った。

今は電車よりゲームのふたり。
当時を聞いても、もちろん覚えていない。

その頃のふたりの様子を
覚えているのは母とわたしだけ。
もう、彼らとそんな時間を過ごす日はこない。

子どもたちの成長は
ほんの少しだけさみしい。

でも、そんなときがあったねと
母と話す思い出をくれてありがとう。

子どもたちが覚えていなくても
成長を見守るだけで
周囲がしあわせにしてもらっていた記憶。

毎日かわいい子どもたち。
どれだけ覚えていられるだろう。
全部、全部覚えていたい。

忘れたくない、
覚えておきたいことばかりの日常。

思い出は、明日を生きるわたしのためのもの。

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