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読書感想:こんな可愛い許嫁がいるのに、他の子が好きなの?2 (電撃文庫) 著 ミサキナギ

【優れた頭脳であれこれ考えたけど、想いは至ってシンプルで】 


【あらすじ】
(元)恋人、逆襲――! 仁義なき正妻戦争、波乱の勉強合宿編!?

再結成された《婚約解消同盟》。次なるターゲットは、才色兼備な天才美少女・氷雨。

親同士が勝手に決めた関係は認めない! 再び息巻く幸太に同盟者・クリスが提案した策とは――!?

一方、幸太とまた恋人同士に戻りたい氷雨。二人きりになるチャンスを探していたところ、幸太の期末試験の結果を知った彼女は、ある行動に打って出る!


「――ここからはわたしの作戦です」


すれ違う思いにますます過熱する正妻戦争。その行方は波乱の勉強合宿へ……!?

元恋人、氷雨の逆襲が幕を開ける――!

Amazon引用

想いの丈が、勝利を掴み取る、仁義なき正妻戦争で氷雨が逆襲する物語。


頼れる同盟者、クリス。
無邪気な幼馴染、二愛。
クールな元恋人、氷雨。
三者三様な魅力を持ちながらも、すれ違いながらもう一歩の関係に踏み出せない彼女達。
そんな彼女らに想いを寄せられる幸太の期末試験の結果によって、波乱の勉強合宿が始まる。
今までの失態を挽回する様に積年の想いを込めた吐露を果たす氷雨。
二愛もクリスも隙あらば、恋心を奪っていく予断を許さぬ状況の中。

幸太の補習回避のために開いた氷雨との勉強会の延長線で、氷雨の祖父が経営する温泉旅館へ赴いた一行。
そこで幸太は氷雨の、自身への想いを知り動揺する。
氷雨が自分のことを好いていた事に安堵する幸太だったが、婚約関係解消したクリス、氷雨、そして婚約の約束をした二愛、この三人から一人を選ばないといけない状況に陥ってしまう。

クリスの策略にしてやられた感がある物の、別れた原因の根底にはお互いの壮絶な勘違いが存在した。

許嫁が多すぎる、つまりは主人公である幸太に強い思いを向ける相手が多すぎる。
そしてヒロインの皆が皆、その思いは譲れぬ理由があった。

幸太を「コーくん」と呼ぶ新たな許嫁、その名は二愛。
SNSで話題のJK陶芸家として活動する彼女は、先ほども言ったが幸太の許嫁である。
そして幸太を支える為、相応しい自分となる為に。十年間も修行を続けてきたからこそ、ちょっとヤンデレ気質な所もあるが、可愛い無邪気な幼馴染である。

クリスにとっても想定外、それは彼女が幼き頃の無邪気さ故にとは言え、幸太が自発的に約束した「許嫁」関係であったと言う事。
そしてその事実は、元恋人となった氷雨の心をも揺らしていくことになる。

二愛の出現の衝撃も束の間、計画を修正し更なる計画を練るクリス。
彼女に突き付けられた、今の自分が幸太を巡るラブコメに参入する力が無い事。
それもまた仕方のない事かもしれない。
「許嫁」という武器を無くしてしまえば、彼女は恋愛に関しては不器用な普通の少女。
二愛のような無邪気さもなく、クリスのような計算高さもなく。
故に誰とも戦えぬ、武器も何も持っていない。
その負い目が、静かに氷雨の心を揺らしていく。

しかし、それが諦める材料とはならない。
幸太に唯一迫れる武器、それは勉強。
幸太をまるで狙い撃ちするかのように組まれた期末試験の補習。
それに目を付け、クリスにも二愛にも出来ぬ自分の戦い方を始めていく氷雨。
これこそが自分なりのやり方で、シンプルな戦い方。

武器が足りぬのならば外部の手も借りる。
この恋を叶える為なら、なりふりは構わない。
自分の黒歴史から始まった恋だとしても、諦めない。
クリスと一時的な同盟を結び、彼女の作戦の元に幸太への告白の道を突き進んでいく氷雨。

そして、告白の舞台は勉強合宿、方眼紙に込めるは自分にしか出来ぬ告白の形。
遠回りする告白は、幸太の心へ確かに届く。

しかし、届いたからこそ幸太の心は思い悩む。
選べぬと尻込みしてしまうからこそ、誰もが幸せになる道を探そうとする。
だけど、クリスはそれを許さない。
最後に笑うのは自分と言わんばかりに、彼の心に忍び込んでいく。
虎視眈々と漁夫の利を狙いを定めるが。
あれこれ頭を悩ませ、考えを巡らせど、至った答えは極めてシンプルで。
それは、想い人と幸せな道を共に歩んでいきたいという事。

優柔不断だとしても、いずれ答えは出さなければならない。
今まで築いてきた関係にちゃんとけじめをつけなければならない。
何かを選ぶという事は何かを捨て去らなければならないという事。

その覚悟を胸に、幸太は誰の想いに報いるだろうか?












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