わたし、二番目の彼女でいいから。4 (電撃文庫) 著 西条陽
【歪な関係は、想えば想う程に終わりに向かっていく】
歪な関係が遂に終焉を迎える物語。
どちらか片方を選ぶ事が出来なかった桐島は、橘さんにも、早坂さんにも良い顔をして、優柔不断さで彼女達の心を弄んだ。
そして、暗黙の了解だった共有のルールを破ってしまう事で、綱渡りだった関係が陥落していく。
しかし、そんな関係になったとしても、繋がってたいと思ってしまう桐島に、柳先輩が提案したゲームは、もう誰も幸福にならないルートに至って、愛憎は彼らを壊して終焉を迎える。
元々、かけ違えていた歯車が、暗黙のルールを破る事や、桐島の事故などによって、決定的に食い違い、見るも無惨に堕ちていく。
その破滅は周囲をも巻き込み、無闇に傷付けて、世界を絶望に染めていく。
どうしよもなく色欲に狂い、その恋愛に耽溺していく姿は退廃的なようでどこか美しい。
思えば、このギスギスした三角関係もまだ優しくて生温かったのだ。
ここまで進退窮まる状況に追い込まれて、関係が破滅して、破壊して、破綻して、ようやく自らの決断で、歪な関係に終止符を打つ。
訪れた破綻の先で大学生となった彼らを待つのは、周回遅れの新たな青春か?
それとも、もっと残酷で救いのない地獄の入口か?
破滅的な恋愛感情の噴出によって、若さ故の暴走に身を任す桐島を止めてくれる人は現れるのか?
男は女の奴隷であるが、同時に女もまた傅く男に足を向けねばならない。
その何処か倒錯的な恋愛の悲喜こもごもは、人を駄目に弱くするようでいて、この人生経験は生きる上でのある種の諦観を身につける事で強くなれるのかもしれない。
若さ故の過ちを犯した彼らは大学生になってどんな関係を結ぶのか?
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