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さようなら、ゆきガッチンくん…またね。

前回は、自分のどうでもいい過去をさらけ出すことができたのですが、
あれから2週間が経過…
いかん、書くんだ、書け!

今回は子供たちについて書いてみます。

先月4月の桜が散り始めたころ、妻の知人と花見をしながら昼食をすることになり、1歳の女の子がいるA家族、8歳の女の子がいるB家族、8歳の男の子と4歳の女の子がいる私たちの家族が集まりました。

「圧倒的にお酒が飲めなくなったね…」なんて同世代恒例の加齢トークをしながら、スパークリングワインを飲み始めます。

近況を報告し合い、猛威を振るっている胃腸炎の話や、近所のお惣菜屋さんの話で盛り上がり、緩やかに時間が流れると、A家族の1歳の女の子が長い枝を手に持ち、そこらじゅうへの冒険が始まりました。

「やっぱり枝だよねえ」「目が離せないから大変だねえ」なんて言いながら、私は孫を見るような目で1歳の子を見つめて、ビールをグイッと飲み干す。

すると驚く発言が聞こえてきました…

「子供は4歳がいちばん可愛い。4歳までだなあ…」

声が聞こえてきた方を見ると、8歳の女の子を持つB家族の両親がしみじみと頷き合っているじゃないですか、ふたりで遠い昔を思い出すように。

「ええーっ、なんでなんで!?」

と私の心はざわついていたが、ふたりの表情を見ていたら「ですよねえ」と頷いていました。(ちなみに妻は「ええーっ、なんでなんで!?」と聞いていたと思うが、明確な答えは忘れてしまいました)

「4歳がいちばん可愛い」

もちろん今も可愛いということだったと思うが、
子供について「4歳最強説」という説があることを知りました。

ってことは…

うちの4歳の娘は、今が可愛さMAXってことじゃん!
なんだよ、なんだよ、逃しちゃダメじゃん!!
これから可愛さ落ちていくんじゃん!!!

と焦り始め、最近の娘の行動を振り返ってみる。

・ママは○(まる)、パパはX(ばつ)と笑いながら言う
・パパのご飯は美味しくないよねえ、と笑いながら言う
・なぜか指を差してきて「ガハハ」とバカにした安っぽい演技で笑う
・風呂上がり裸で逃げ回り、娘のパンツを持ったまま追いかける私を笑う
・「アナと雪の女王」を気持ちよく歌い「拍手は?」と笑って言う

こ、これは…

ジャ、ジャイアンじゃん!
ちょと性格悪いじゃん!!
このパパ(私)ツラいじゃん!!!

と一瞬思ってしまいましたが、娘が無邪気な笑顔を浮かべて、小さな体を全身使って向かってくる姿はとても可愛らしいです。

また、4歳ぐらいになると、だいぶ言葉を覚えて「アニサキシュってなに?」なんてことも聞いてきたりしてきます。

いろいろ思い出すと「4歳最強説」確かにありですねえ…
と顎に手を当て、少し古畑任三郎になりかけたところで、さらに「4歳最強説」を後押しする出来事を思い出しました。

それは東京に雪が積もった、
今年の2月上旬のこと。

息子と娘と早起きして、フワフワに積もった真っ白の雪の中を走りました。「なんで雪ってこんなに嬉しいんだろうね」と息子と話しながら、真っ白な世界に自分たちの足跡を付けていくのは何とも爽快でした。

娘は、大きなショートケーキを頬張るように雪に顔を埋めて嬉しそうにしていました。

そして3人で自宅の玄関前に小さな雪だるまを作りました。
小さな石を目に、細く短い枝を腕に。

娘に、この子の名前何にしようか?と聞いたところ、
「ゆきガッチンくん!」と即答しました。

ここから、ゆきガッチンくんとの生活がスタートしました。

「ゆきガッチンくん、行って来るからね!」
とまるで弟に伝えるように保育園に向かう、娘。

道中、その日が快晴だったため
「ゆきガッチンくん、大丈夫かなあ…」
と心配をする、娘。

保育園から帰って来て、その姿を見つけると
「ゆきガッチンくん、無事だったのね!」
と再会を喜んでいた、娘。

少しずつ体は小さくなり、目が取れたり、腕が落ちたりしながらもその場に存在してくれる、ゆきガッチンくんに私も愛着が湧きはじめていた頃、娘と保育園から帰ってくると、なんと頭が吹き飛んで転がっているじゃないですか!残酷な殺害事件ぐらいの衝撃でした。

「ゆきガッチンくん…」
悲しがっていた、娘。
「こんの野郎、だ、だれが、こんなことを!タダじゃおかねえぞ!!」
少し怒っていた、私。
「たぶん〇〇くんと、〇〇くんがやったんじゃない」
全く当てにならない感じの古畑任三郎になっていた、息子。

ブラックジャック並みの素早さで、すぐに頭を拾い、体に取り付け、そこに目と腕を加えると、少し歪なゆきガッチンくんが復活しました。

「ゆきガッチンくん、良かったあ!」
嬉しそうに、頭を両手で包み込んでいた、娘。
その心の美しさに、ひとり感動していた、私。

しかし喜びも束の間、
別れの時がやって来ました。

朝、いつものように玄関を出ると、
その姿は頭も体も区別がつかなくなっていて、
1つの小さな雪の塊がそこにありました。

娘はその姿をしばらく見て、
「さようなら、ゆきガッチンくん…またね。」
と小さな手で雪の塊を撫で、
なんとも言えない顔をして保育園に向かいました。

それからというもの、天気予報で雪が降るかもという情報が流れると「またゆきガッチンくんと会えるの!?」なんて娘が言うことが何度かありましたが、再会はまだできていないです。

娘が5歳になった来年、雪が降って、
同じように「ゆきガッチンくん」と再会できるのだろうか。
それとも「やっぱり4歳が最高に可愛かった」と私が言うのだろうか。

まだ5月の初夏だけど、
今から雪が待ち遠しい。

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