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「キセキ」の留守番電話
初めての投稿(自己紹介)をしてから2週間が経ってしまいました。「どうせ誰も見ることはないから」と気楽に思っていたのですが、まさかのスキを頂いてから、見られることを意識し始めてしまいました。
「自己紹介が0回だとしたら、実質今度が1回目。初回の視聴率で全てが決まる」なんて考え始めてしまい、何を期待してるんだ!なんて反省しながら、毎日内容について思いを巡らしていました。いやまずい…だから書きます!!
先日、起こった出来事です。
朝起きて、携帯電話を確認すると「知らない電話番号」からの着信が残っていました。時間は前夜の20時46分。留守番電話も残っていました。
「何かの売り込みなどのロクな電話じゃないだろう」と思いながら、留守番電話を聞き始めました。歯切れのよい、女性の声を想定していたのですが、少しの間があったあと、聞こえてきたのは「か細い、ご高齢であろう女性の上品な声」でした。
この女性を、仮に佐藤さんとしましょう。
ちょっと想定外だったので、全く内容が頭に残らず、もう一度聞きました。
「〇〇ちゃんですね、佐藤です。赤ちゃんがお生まれになって、おめでとうございます。よかったですね。大きくなったら抱っこしたいです。よろしく」
そうか、そうか、赤ちゃんが産まれたのか、いやー良かった、良かった…
いや、待て待て、良くない、良くない!
ま、間違い電話だ!!
やばい「よろしく」って言ってる!
うちは息子が35キロで、娘が15キロ!
重い、絶対に重いぞ!
48歳の自分でも、抱っこしたら数秒で腕がしびれるぞ!
まずい、絶対にまずい!!
と頭の中がぐるぐる回りだし、ちょっと受け止めきれなかったので、目の前で座って朝食を食べている息子に、留守番電話の内容を伝えてみました。
すると目玉焼きを食べながら「怪しいねえ、クチャクチャ」と目つきを変えてコメントし、端を置くと「詐欺っぽいねえ、クチャクチャ」となんだか小学2年生なのに冷静でちょっと拍子抜けしてしまいました。
「いやいや、こんな詐欺ないだろー!」と思ったのですが、朝で時間も無いため「そうだよね」と話を終わりにしました。そして、それからしばらく佐藤さんについて思いを巡らすことに。
自分の子供たちが生まれてきてくれた時、連絡は両親にだけにしました。そして親戚には、両親が連絡してくれたことを思い出しました。そういえば親戚とは全然会ってないし、話してもないなあ、「なんて不義理なやつなんだ!」といつの間にか自分を責め始めていました。
たぶん佐藤さんは、〇〇ちゃんのおばさんだろう。子供が生まれたことを聞いて「嬉しくて、嬉しくて」電話したんでしょう。もしかすると、とても「勇気を出して」電話したかもしれない。留守電になってしまったけど、「抱っこしたい」と自分のメッセージを伝えられたことで「幸せな気持ち」になってたかもしれない。
それが、まさか、赤の他人の自分に伝わってしまっている。
もしかしたら、〇〇ちゃんと再会した時に、言った言わないの喧嘩になるかも。さらに、もしかするとこの電話の後に、佐藤さんの容態が変化して「あの時、とても喜んでいたんです。それがまさか会うこともできず…」なんてことも、と次々と最悪の事態が思い浮かび…
「電話して間違いを伝えよう」という気持ちになっていました。
しかし、極端に電話が苦手な私(特に話したことがない方、お金の話、ギャラ交渉などは、手に変な汗をかき、急に掃除などを始め、その日に電話できないこともある)。時間だけが経過し、10時、11時、12時…
まずい、これ、電話しないパターンだ!このチキン野郎!!と頭をよぎった、その時、「この事実をnoteに書こう」と考えた瞬間、電話ができたんです!!!
すごい、note最高!!!!
呼び出し音が、しばらく鳴る。「やっぱり出ないよな、留守番電話に残そう」と頭を切り替えて、言葉を整理し始めると…
「…はい」
と、か細い上品な女性の声が聞こえてくるじゃないですか!
で、出たー!!
いや、出てくれたー!!!
ここからアドリブが滅法弱い自分をさらけ出すことに。
「あっ、いやっ、昨夜電話を頂きまして、あの、生まれておめでとうって」
「はっ?どちらさま?」
「あっ、昨夜、留守番電話を聞きまして」
「えっ?留守番電話?」
やばい!かなり疑われてる…被せ気味の言葉に対応ができず、というか自分の伝え方が全くダメで、このままだと切られてしまうかも…と思ったのですが、佐藤さんは粘り強く聞いてくれました。
そして「おそらく親戚の方が、お子さんが生まれて、おめでとうございます!」と伝えると、急に佐藤さんの声のトーンが変わるのがわかりました。
ここからようやく、家の居間に通されて、温かい緑茶を飲みながら「いやー本当に良かったですね」なんて話し始めることができたような感じです。とにかく「おめでとうございます!」を連呼していただけのような気もしますが。
どうやら「教えてくれた電話番号が間違っていた」ということでした。そして「生まれたと聞いてから、全然連絡がないから電話したんです」という理由でした。「いやー私も全然連絡しなかったんですよ」なんてことは言えませんでした。
そして佐藤さんは最後に上品な声で、少し恥じらった感じで
「ごめんください」
と電話を切りました。
私もなんだか、親戚のおじさんの様な気持ちになり「この瞬間(ちょっと前だと思いますが)に、この世に新しい命が誕生したんだ!」なんて感慨深くなっていました。
私自身、息子や娘を授かるまで、無事出産するまで、妻に起こった出来事を思い返すと全てが「奇跡」なことだったと実感があります。だから全く縁もゆかりもない〇〇ちゃんに心の底から「おめでとう!」と、かなり遠くから伝えたかったのかもしれません。
そして佐藤さん(仮)にもこんな気持ちにさせて頂き嬉しかったですし、noteにも書いてしまいすいませんと思いつつ、タイトルに「奇跡」と付けるのもなんか感動の安売り!とか考えてしまい「キセキ」にしてしまう自分はやっぱり見られることを意識しているんだな、と思った次第です。
初回、長くなってしまいましたが、
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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