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映画感想文【ヴァチカンのエクソシスト】

2023年 製作
出演:ラッセル・クロウ、ダニエル・ゾバット

<あらすじ>
1987年7月、サン・セバスチャン修道院。アモルト神父はローマ教皇から、ある少年の悪魔祓いを依頼される。少年の様子を見て悪魔の仕業だと確信したアモルトは、若き相棒トマース神父とともに本格的な調査を開始。やがて彼らは、中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判の記録と、修道院の地下に眠る邪悪な魂の存在にたどり着く。

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おかしいな、ミッション・インポッシブルの最新作を観に行ったはずなのにな…?
眼力ムキムキ神父、ラッセル・クロウについフラフラと呼ばれてしまった。
相対的な感想としては星5点中2.5点といったところだろうか。ツッコミどころが多い。

冒頭はイタリアの田舎での悪魔祓いから始まる。
ラッセル・クロウ演じる悪魔祓いのエキスパート、アモルト神父と村の青年に取り憑いた悪魔とのやりとりは、まるっきり民話『三枚のお札』だ。
お使いに出た小僧を追いかけてきた山姥を、和尚さんが頓知をきかせてあっという間に退治してしまう、あれ。
おいおい、悪魔祓いってそんな頓知合戦でエエンカイ。

アモルト神父は実在した神父(司祭)であり、映画の舞台はヴァチカン、そしてスペインの片田舎となる。
『ヴァチカンの〜』と銘打つだけあって英語以外、イタリア語でのやり取りが多いところは個人的に高評価(流暢なそれかどうかは判断できないが)。

メインとなるのはスペインの古い修道院における幼い少年に取り憑いた悪魔との戦いだが、その悪魔の正体は天国から堕ちた200の天使のうちの一人(?)、アスモデウスである。
その凶悪さにかつて対峙した悪魔祓いは全滅、修道院ごと封じるしかなかったほどらしい。
壮絶な戦いの後、もちろん悪魔は滅び神に仕える神父たちが勝利するのだが、過去の優秀な神父も敵わなかった相手にどうやって?どうして?という点がいまいち曖昧だった。

取り憑いた悪魔の名前を明かす、というのが悪魔祓いの定石らしいが、アモルト神父はアスモデウスという名を過去敗北した神父の日記で知ったようだし、その点に優位性はない。更にはRPGのような、めっちゃよく効く聖水だとか神様から直接賜った十字架だとか、そんなチートアイテムを手にしているわけでもない。
であればアモルト神父の悪魔祓いとしての能力を際立たせたかった、ということかもしれないが、それもあまりはっきりとは描かれていない。むしろたまたま現地で神父をしていたが為に巻き込まれたトーマス君の方がめちゃくちゃ頑張っていて、トーマスくんの成長譚か?とも思ってしまう。
そして肝心の総本山、ヴァチカンにいるボス、ローマ教皇はほとんど手助けになっていない…。必要か?(ストーリー的に)

どうも名優ラッセル・クロウの力でなんとかレベルを引き上げてる感が拭えない。
ガタイが良くてパワフルなラッセル・クロウ神父様は、しかし強大な組織にも迎合しない野性味あふれるロッキン!な神父様でもある。そんな彼が小さなスクーターに乗って、女性や子どもたちには優しい茶目っ気を見せる様子はギャップがあって可愛らしい。
戦争に従事した故に苦悩し、しかし「生き残ったことに意味を見出すのはこれからの自分次第」といった彼の信念を吐露する場面はなかなか良かった。
ラッセル・クロウは追い詰められてなんぼだよなぁー(笑

それほど怖くなかったところはビビリ屋としては結果的に助かったが、はて、映画的にはそれで良かったのかどうか。なんとなくだが、活字で読んだほうがゾクゾクして面白かったのではないかと思う。


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