記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

インディ・ジョーンズ考察~新作公開に向けて~

2023年6月末に公開されるインディ・ジョーンズの最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の為に、今までのシリーズ4作をおさらい鑑賞した。
4作品の詳細は以下の通り。

①『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年公開)
②『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年公開)
③『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年公開)
④『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年公開)

それぞれ120分ほどなので、合計で約8時間。面白かったが流石にイッキ見はちょっと疲れる。
今まで幾度となく観たと思っていたが、改めて見るとこんなんだったっけ?と思うところが多くあり、新鮮であった。
とりあえず思いつくまま書き連ねてみる。



・俗っぽさが魅力。高尚さはないが、ないのが良いのだ。
ストーリーはごく単純。
大学で教鞭を振るう著名な考古学者であるインディ・ジョーンズが、お宝を求めてエジプトやらインドやらの古代遺跡を訪れ、大体において国家レベルの陰謀に巻き込まれながら、騙されたり美女とロマンスしたりアクションしたりして、最後にはお宝にたどり着く。
シリーズ全般を通して、人類愛だとか世界平和だとか、頭でっかちなテーマがあるわけではない。あるかもしれないがそれは二の次であり、一番は遺跡への冒険でありアクションである。難しい推理もない、このとっつきやすさが世代を超えて愛される理由の一つだろう。
回を追うごとにどんどん俗っぽくなるのが良い。個人的には3作目が一番成功している気がする。蛇足だが亡きショーン・コネリーが生き生きと動く様子にグッときたし、めちゃくちゃイケメンな少年インディがあのリヴァー・フェニックスであったことにびっくりした。

・007の亜種?しかし遥かに女にクズ、かつヒロインの癖の強さよ…
シリーズの監督は言わずとしれたスティーブン・スピルバーグ。
彼が当時スター・ウォーズを大ヒットさせていたジョージ・ルーカスに「ジェームズ・ボンド映画がやりたい」と打ち明け、ルーカスが「もっと面白い企画がある」と持ち込んだのがこの作品のきっかけなんだとか。
そう言われてみると確かに007シリーズを彷彿とさせる片鱗はあるかもしれない。
しかしジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズ、並べて比較すると随分とその魅力は違う。
まず女に対するだらしなさ。とっかえひっかえなのはどちらも同じなのだが、インディの方が泥臭く不器用。頑張って好意的に考えたとして、チャーミングといえなくもない、か?
更に4作目では1作目のヒロインが再登場するのだが、二人のエピソードを聞くと、どクズである。フツーに女の敵。しかしヒロインもヒロインでクセつよがすぎるので、どっこいどっこい、お似合いなのかもしれない…。
制作陣はそれもまたシリーズの魅力の一つとしているのだろう。まぁどだいボンドガールとは立ち位置がだいぶ異なるので比べるのはちょっとナンセンスか。

・割とドジじゃね?
シリーズ通して結構やらかしがちなインディ。罠にも良くはまるし、良く騙される。隙が多すぎて度々”あちゃー”だ。
だがしかし彼は(一応)ただの考古学者に過ぎないのだから、それも当然だろう。MI6にもCIAにも、はたまたIMFにも所属していないのだ。
彼のアクションだってそう考えれば十二分にお釣りが来るほどではないだろうか。頑張れいインディ!いけ!そこだ!やられたらやり返せ!!という泥臭い殴り合いが実に人間味があって良い。007やスーパーマンのような超人さは、彼には必要ないのである。
しかしそうして結末まで見てみると、彼のフィールドワークは果たして総合的に成功していると言えるのだろうか…?
成果物として遺跡を無事(?)持ち帰れたのは1作目のみ。あとは元あった場所に返還したり谷底に落ちたり水没したり、または他人にかすめ取られたり、と散々である。良くやっていけるものだ。きっと素晴らしい研究論文をいくつも執筆しているのだろう…。
最近同じく考古学者が主人公の『MASTERキートン』(浦沢直樹著)を読んでいたせいか、つい考えてしまった。

・やっぱりテーマソング
なんだかんだ、聞く度ワクワクしてしまう。
不朽の名作と言われる所以でもあるだろう。
この曲が流れるたび、ィよぉし!こっから反撃だ!という高揚感に包まれて観客はスクリーンにのめり込む。実にニクい演出である。



4作目は確か公開時に劇場で観た気がする。
その当時はやはりどうしても肩で息している印象が強く、「あ〜こりゃもうダメだわ〜」と思っていたのだが、今回一気見してみた後では「やっぱインディはハリソン・フォードじゃないとダメだわ〜」という気がしてきたのが不思議だ。
頭のいい学者先生なのに子供っぽくて割とドジで、むちゃくちゃ言うしやらかすし、でもなんか…それでイイ!許す!!となるのはハリソン・フォードがインディでインディがハリソン・フォード、だからであろう。

1作目が公開された1981年では39歳、そして4作目2008年時点で66歳。そして今作では実に80歳。天晴としか言いようがない。
制作陣も彼以外を起用する気がないのだろう。するならもっと早い段階で二代目を作っているはずである。
息子役が登場する4作目ではちらとそれを考えたのかもしれないが、ラストシーン、インディ・ジョーンズのシンボルとも言えるカウボーイハットがジュニアの手にわたりかけ、しかしやっぱり本人のもとに戻ったということは、つまりそういうことなのではないだろうか。(ちょっと邪推して、シャイア・ラブーフを息子役に起用したせいか…?とも)
うーん、愛されるハリソン・フォード。
来る6月末、アクションの機敏さよりも、もっと魅力あるなにかに出会えることを期待している。

(裏切ってくれるなよ…)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?