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映画感想文【グランツーリスモ】

2023年 製作。
出演:デビッド・ハーバー、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィ

<あらすじ>
大学をドロップアウトし、働くのもいい加減なヤン・マーデンボローだが、唯一『グランツーリスモ』でのプレイだけは世界トップレベルの腕前。
このゲームのプレイヤーを本物のプロレーサーに育成する「GTアカデミー」の企画が持ち上がり、ヤンは見事選抜レースを勝ち抜き選ばれる。
指導を引き受けたのは元一流レーサーのジャック。企画に乗り気ではないジャックの指導はヤンたちの想像以上に厳しいもので、集まったゲーマーたちは次々脱落していくが……。



評価が高いし、映画館で観るべき映画だろうと思ったので行ってみた。
ストーリー自体は友情・努力・勝利!といったごく普通の成長譚だが、現実の話をもとにしているとあれば夢はより色鮮やかなものに見える。
良くある話とは言いつつも、試練とそれを乗り越える様子がいくつも折り重なり、着実に主人公が成長していく姿が丁寧に描かれていて良かった。レース自体は派手だが、なかなかいぶし銀なスポ根映画である。

いぶし銀なところは乗り越えるべき試練が非常にシビアであることも影響しているだろう。
どうしてもゼロにできないレース中の事故、それも人の死を伴うものは傍で見ていても非常に辛い。自分の起こした事故で観客が死亡すれば当然苦しむ。そもそも家族に反対されていたということも相まって、自分のせいだと涙するヤンの姿が胸に来る。
共に苦悩しヤンに寄り添うジャックも良かったし、挽回のレース『ル・マン』を観戦に来た父親の姿も非常に良かった。

映画は主人公ヤンの成長譚ではあるが、同時にレーサーとして挫折し未練を残したジャックや、我が子を信じきれていなかった父親をも次のステップへ踏み出す様子を描いている。いわば全員参加の成長譚、だろうか。

合間合間に流れる音楽がバラエティーに富んでいて実に効果的。
激しく危険で派手なレースに挑むヤンが聞くのが、柔らかなケニー・Gとエンヤというのも印象深い。
本作で久しぶりにオーランド・ブルームを拝顔したが、久しぶりすぎて変貌にちょっと驚いた。こういう映画ではありがちなマーケティングのことしか考えない嫌な役ではなかったことにホッとする。

それにしてもレーサーにとってル・マンって特別なんだなぁ。『栄光のル・マン』とか有名だしね。
『フォードVSフェラーリ』ももう一度観たい。ル・マンじゃないけど『ラッシュ プライドと友情』も良さそう。


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