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映画感想文【RRR】

まず最初に結論から言って、お腹いっぱい…である。
普段は同じものを映画館で複数回観ることなどまずしない。
大体は一度で満足するし、DVDやTV放送があるだろう、と考える。唯一映画館に通ったのは『もののけ姫』くらいだ。
しかし今回この『RRR』、短期間で2回映画館に足を運んだ。そのくらいヤラれてしまったというか、兎に角盛り沢山過ぎて、1回では消化しきれなかったのだ。

<あらすじ>
1920年、英国による植民地化が進むインドでは、人々がその圧政に苦しんでいた。そんな中、深い森に住む一族では、英国人のほんの気まぐれから娘が連れ去られてしまう。一族の守護者たる主人公、ビームは娘を取り戻す為、仲間と共にデリーへ向かった。そこである出来事をきっかけに、もう一人の主人公、ラーマと知り合う。
不思議なほど意気投合する二人は兄弟のように楽しい時間を過ごすが、実はラーマは英国政府の警察であり、二人は敵対する関係にあった。
互いに隠された正体に気づかず、しかし対決の時は確実に迫り…


インド映画を劇場で観たことがなかったのだが、大迫力であった。お値段以上、というかこれはやはり映画館で観るべき映画だと思う。
最初から最後まで、筋肉!力!パワー!!の凄まじい熱量。
有り得ないことを有り得ないまま、大真面目でぶち込んできてはゴリ押しで話を進めていく。
主人公やその他、何度「いや生きとったんかい!!」と思ったことか。
全てにおいて大げさでドラマチック。だがそれが良い(笑
アクションシーンの緩急、目まぐるしい動きとスローモーションの切り替えが頻繁に繰り返され、観客は否応なしに引き込まれるだろう。
実のところ有り得ないなどと言っている暇がない。圧巻の力技、お見事。

そしてインド映画と言えば歌と踊りである。
ミュージカル映画はちょっと…、という人は一定数いる。実は自分も若干苦手意識がある。苦手な理由はもう『なんで急に歌いだすor踊りだすのかわからん…』の一言に尽きる。
高まりに高まった感情の発露が歌と踊りで表現されているのだという意見もある。日常生活でだって感情が高ぶったら地団駄踏んで悔しがったり飛び上がって喜んだりするだろう、あれの最上位変換だよ、と。
理屈では分かる。しかし好き嫌いに理屈はない。ただただ受け入れがたい、というだけなのだ。

ミュージカル語りが長くなってしまった。
兎も角今回もその点が少し心配であったし、やはり確かに歌うし踊るのだが、苦手勢が一番「うっ」とくる『脈絡の無さ』があまりない。なので受け入れやすい。そこまで身構えなくても大丈夫、ミュージカル要素が原因でこの映画を観ていない人には勿体ない、とだけお伝えしておく。

というか、踊りが一番かっこいい!
主人公二人のキレッキレダンス、ナートゥをぜひとも観てほしい。
斬新なリズムと二人のダンスにすっかり虜である。Youtubeで何度でも観てはニコニコしてしまっている…。

主人公二人はそれぞれ異なった魅力にあふれる。
ビームの方は森育ちの自分と違うインテリな兄貴分としてラーマを慕い、ラーマは昔亡くした弟を重ねるようにビームを可愛がり、無二の親友として付き合う様が微笑ましい。そう思うのは観客たちが二人の正体、対立が必至と分かっているからだ。いつ互いの正体を知るのかと、ハラハラさせる引き込み方がうまい。
悪役も完璧、疑う余地なく『悪』。史実では色々あるだろうが、この映画においてはなにも斟酌しなくて良い。これだけ完璧に悪ならば、演じる方もいっそ気持ちがいいのでは…?

それでもあえて難を言うならば、やはり3時間は長い、というところか。
全て欠かすことのできないエピソードであり、最後も大団円で良かったと間違いなく思うが、もうちょっとコンパクトに…と思わなくもない。
長さのためかどうかは不明だが、劇中に席を立つ人がやたら多かった。

長く語ったが、兎に角楽しい時間を過ごさせてもらった。
2回観に行き、確かにその価値はあったと思う。昨年の10月公開でまだ終了していないのは、かなりのヒット作という証拠だろう。もっと早く観に行けば良かった。

インド映画の溢れるどころか周り一面ぶちまける程のパワーに、問答無用の元気をもらった。
イチオシ映画。

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