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やれば出来る子、和歌山

大阪市難波から和歌山市を大阪湾沿いを走ってつなげる私鉄、南海電鉄の和歌山市駅にはキーノ和歌山という複合施設がある。
2017年に竣工し、建物内には薬局やスーパー、レストランと言ったテナント、ホテル、オフィス、そして市立図書館が入る。
以前から気にはなっていたが、なまじ近くていつでも行ける距離の為に返って機会がなく、この数日前にやっと訪れることができた。
お目当てはもちろん、和歌山市民図書館。

施設は駅直結なので、和歌山市駅の改札を出れば雨天の時も濡れることなく移動ができる。全体の写真を撮り忘れたが割と広く、駅改札口を中心に左右にテナントが展開されている。
図書館があるのは改札に向かって右手、大阪寄りと言えばよいだろうか。

入り口
カフェエリア

施設内には蔦屋書店とスターバックスが併設されており、読書を楽しむ静けさとコーヒーを楽しむ賑やかさが共存している。
併設なのでもちろん、図書館所蔵の本もコーヒーを片手に楽しむことが出来る。
書店と喫茶店の1階を抜け、2階からの図書館エリアはその大きさに驚いた。

少し分かりづらいがおよそ3m弱くらいだろうか、天井までの本棚にびっちり本が並べられている。
脚立なしでは手の届かない高さまで、見渡す限りの本。
…良い…‥!

壁際には一席ごと区切られた読書スペースがあり、コンセントも設置されているのでPCを広げる人も多くいた。

窓際が作業スペース

他にはグループ学習やイベントの為の多目的ルームや自習のための学習室(フリーWi-Fiあり)、郷土作家である有吉佐和子文庫、そして4階全体が開放感のあるキッズルームとなっており沢山の親子が思い思いに本と共に過ごせるようになっている。
飲食スペースもあるので弁当持参の長時間滞在も可能だし、テラス席もあれば屋上にはキッチン備付の芝生スペースまであるらしい。
えー、ここって楽園では?

一番良いところは年中無休なことではないだろうか。
商業施設と一体化しているため、図書館=月曜休館のお約束に縛られないし、更には朝9時から夜9時まで開館しているので勤め人も利用しやすいだろう。
更に更に、公式HPを見ていて知ったのだが利用を和歌山市民に限っていないのである。日本国内在住の誰でも利用できる、とのこと。
えっ、凄ない…?そういうもん?

ちょっと遠いけれど行ってみてもいいなぁ、とつい考えてしまう。


いやー、噂には聞いていたが驚いた。それも嬉しい驚きである。
自分の知る和歌山、特に南海電鉄の和歌山市駅周辺と言えば、過疎化の進む地方都市そのものであった。
10年ほど前であろうか。辛うじて百貨店の高島屋があるのみ、昔は賑わっていたのに…と言わんばかりのシャッター街に避けられない痛々しさが漂っていた。
和歌山は自然が豊かだし、ゆかりの美味しいものも、それを提供するおしゃれな店も多くある。寺社仏閣にお城に、歴史的に興味深いものも勿論。
それなのに玄関口ともなるべき駅周辺の寂れ具合はどうしたもんか、とは県民でなくとも、いやむしろ県外の人間だからこそ感じていた。

キーノ和歌山は、前述の百貨店、高島屋が撤退して以降寂れる一途であった駅ビルを再生する起死回生の一手であったのだろうと想像する。
新型コロナの流行で竣工からオープンまで随分と間が空いてしまったらしいが、満を持して、と言っても良いかも知れない。
図書館自体は収益を生まないが、人を集めるという点においては良い着眼点だろう。心地よい空間で本を読んで過ごし、時間になればついでに買い物をして帰ろうか、食べて帰ろうか、とも思う。

居心地がいいから人が集まる。
人が集まれば活気が生まれる。

まだまだ始まったばかりの駅周辺再生計画、是非とも応援したくなる良い最初の一歩だ。
知ってたよ、君はやれば出来る子だって。ネッ!和歌山!

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