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映画感想文【続・夕陽のガンマン】

1967年 イタリア・スペイン・西ドイツ製作
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック

<あらすじ>
南北戦争末期のアメリカ西部。“善玉”ブロンディと“卑劣漢”テュコはコンビを組み、詐欺まがいの手口で賞金を荒稼ぎしていた。ある日、彼らは瀕死に陥った兵士から、巷で噂されていた20万ドルの金貨の隠し場所を聞く。ブロンディとテュコは互いを出し抜く機会を狙いながら大金の行方を追うが、そこへ以前からその大金を探していた“悪玉”エンジェルも加わり、三つどもえの戦いが幕を開ける。

映画.com

前作観たし、ついでに観ておこうかな。くらいのノリだったのだが、名ばかりの『続』に驚いた。全然『続』じゃない。むしろなんでその邦題にした? ややこしいではないか。ちょっと文句言いたい。

オープニングに登場する三人の男。
卑劣漢、悪玉、そして善玉。
あらすじに書かれた通り、善玉たるブロンディは我らがクリント・イーストウッド様なのだが、……いやいや”善玉”は卑劣漢と手を組んだりしないから!
命がけの詐欺みたいなことしないから!!
初っ端からツッコミどころが満載である。

前回の132分に対し今作は178分で、随分と長いなと途中感じた。
南北戦争を絡ませたことが吉と出るか凶と出るか。それは観る人次第だろうが、自分は正直五分五分な気がする。
南北戦争による事情を挟んだためにやや話が長くならざるを得ない。戦争に巻き込まれた人たちの悲哀をエッセンスに、ブロンディの人情味や”善玉”であることの証明、トゥコのやるせなさなどを語りたかったのかもしれないが、自分にはやはり長いと感じられた。
前回同様、もっとイーストウッド様に文字通りバンバン活躍してもらいたかったのだが、むしろトゥコの方が脚光を浴びているというか尺が割かれているような。前作活躍したリー・ヴァン・クリーフは更にその分影が薄い。三人の男に脚光を当てるという脚本の難しさよ。

卑劣漢トゥコと善玉ブロンディ。
立場の交差する追いかけっこは見ものだったし、トゥコの悪辣っぷりが振り切れていて小気味いい。ニヒルで表情筋の動きが乏しいブロンディに対し、思い切り顔を歪めて声を上げ、喜怒哀楽を表現する。その対比が互いの存在を一層強調するのだろう、愛すべき悪党である。

……などと言ってもラストはやっぱり、イーストウッド。

映画の一番の見所、卑劣漢と悪玉と善玉、三者のにらみ合い。
一対一のガンファイト、という西部劇のお約束を裏切ったこの場面。一触即発の緊迫感は言葉ではなかなか言い表せられない。とにかく一度見てくれ! と言いたくなる。


まさかの展開


最後の最後、出し抜かれた(と言って良いのやら?)トゥコがブロンディに向かって叫ぶ。

「お前なんか善玉じゃねぇ!」

いやほんと、ごもっとも。
みーんなまとめて、全員同じ穴のムジナだわ。
わざとなのか大真面目なのか。わからないまま大いに楽しませてもらった。ちゃんと例のポンチョ姿もお目にかかれて満足満足。これでなくっちゃ。
長かったけれど面白さは抜群のドル三部作ラスト、やっぱり観てよかった。


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