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映画感想文【CUBE】

1997年製作、監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
カナダ発のスリラー映画

<あらすじ>
不気味な立方体の空間で目を覚ました6人の男女。天上を含めたそれぞれの面にハッチがあり、隣には同じような空間が続く。しかし不用意に移動すれば、仕掛けられた罠に命を落とす。ワイヤーナイフ、ガスバーナー、塩酸スプレー…。
連れてこられた理由も意図もわからないまま、全員が協力して脱出を試みるものの…


まず最初に、チキンハートが夜中に一人で観るものではない。
初っ端からめちゃくちゃ後悔した。
後悔したがここで観るのを止めたら夢に出てきそうだし、解決を見届けなければ気になって眠れなさそうなので、半泣きになりながら最後まで頑張ってみた。怖すぎる。

登場人物を限定された状況において、そこで起こる恐怖・緊迫感を描く作品をシチュエーションスリラー、というらしい。
この作品は最初から不可思議な模様の描かれた立方体、が舞台である。
もう怖い。
空間は不気味な光を発しており、宇宙船のような雰囲気も醸し出している。宇宙人にキャトられたか?などと一瞬思わせるのも狙いなのだろうか。

登場人物たちが何故そこに連れてこられたのか、何故彼らなのか、脱出したあとは何があるのか。
そういった当然の疑問は何一つ明かされないので、あるいは本当に宇宙人の陰謀なのかもしれない。

謎を謎のままとして残しておくのも良い方法だと思うが、あまりに不親切がすぎるというか、シチュエーション(密室)の緊迫感は非常に成功していると思うが、荒削りな部分が多いなと鑑賞後の感想である。

・人選の根拠が謎
警官に医者に女子学生、精神病患者、立方体施設の設計者、脱獄犯…
なんでこの6人?最初に刻まれた人はただの演出?(だとしたら大成功ですけど!グロいし怖いヨォォォン)
・6人運良く会えすぎでは
映画の最初で登場人物6人が集合するのだが、過酷過ぎる罠があるのに良く早々に集結出来たな…
・数学的知識がムズい
数学専攻の女子学生、レヴンの活躍によりトラップ立方体を避けて外界に向かうことが出来たのだが、逆に言うとレヴンがいなければ速攻で詰み…
数学的知識がない自分があれこれ言うのもナンだが、難しいことを並べて煙に巻こうとしていないだろうか。特に後半スピード感がUPするなかで、この設定は若干浮いているような気がする。

細かいことを並べたが、サスペンスものとしてはよく出来た作品だろう。
特に警官、クエンティンと医者、ハロウェイのやりとりは極限状態に置かれた人の、むき出しの心理を良く表現している。徐々に暴力的な一面を顕にしていくクエンティンの変貌ぶりがリアルで恐ろしい。

制作費は超低予算だったらしいが、さもありなん。
役者は最初にワイヤーナイフでサイコロステーキにされた哀れな一人を含めても全部でたった7名。セットは立方体の部屋を二つばかりと外壁のみ準備すれば撮影は可能だろう。
それでこの完成度なのだから、大成功には間違いない。

この作品の凄さは大いに認めるところではある。
しかし怖さと後味の悪さをもって、他人にオススメはしない。
今日は煌々と明かりをつけて寝ようと思います。怖いよぉぉ

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