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その先生は本当に良い先生なのか?

こんにちは、ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。

さて、昨日はレッスンをしていたのですが、今までになく素晴らしい音を出した方がいたのです。いつも自信がなさそうな方だったのですが、それから楽しそうに、堂々と吹いてくれました。やはり成功体験が一番の薬。しかし、その成功体験を作るためのアプローチもタイミングが重要ですね。

レッスンすることの難しさ

楽器に関してもなんでもそうですが、名教師と言われている人って意外と少ないし、名選手名監督にならずって言われるけど名演奏家だから名教師になれるわけでもない。

でも実際にある程度の経歴がないと生徒は集まらない。どこかのオケの団員だとか、コンクール入賞者だとか、そういったところに人は集まる。しかし、そういった人たちが「教えることがうまい」「教える意欲がある」かどうかはまた別の評価が必要です。

勘違いされやすいのは、少し良い生徒が出始めると「良い先生」とされ受験する学生が集まる。すると倍率が上がるので必然的に良い生徒がクラスに集まる。結果、良い結果がコンスタントに出る。これが名教授のループ。

じゃあ実際にどんなレッスンをしているの?って聞くと”放任”だったりする。良い生徒が集まれば勝手にうまくなるから先生はちょっとのアドバイスをしていれば勝手に結果を出してくれるのだ。しかし、もちろんそういう生徒ばかりではなく途中迷ったり落ち込んだりスランプになったりする生徒もいる。そういった生徒をどうにかするのが本来の名教師だと思うけどそれも放任なのだ。

イップスに悩む友人に教授がかけた言葉

私の友人ではイップスのような症状にかかった人がいる。スポーツではよく聞くイップス。意図せぬ動きが急に出てしまったりするもの。私が好きな野球やゴルフの世界でもよく聞く話だ。演奏家の場合ももちろんある。人によっては急に指が意図せぬ動きをしたり、また、ある人によっては本番中に急に頭が真っ白になって演奏できなくなってしまったりと症状は様々だ。それがほんの数秒だったとしても、ほんの一瞬でも演奏家にとっては大きな問題だ。

友人は若い頃から才能豊かでとんとん拍子で進んでいった。とても自信を持って演奏していた。
しかし、数年ぶりにあったその人は悩んでいた。先生が変わって色々と基礎的なことや違った考え方を教わって変化することでどこかに不具合が生じたのだろう。いわゆるイップスのような症状に悩まされた。

そのときにいろいろと悩んだ友人にかけた教授の言葉を聴いて私は一瞬で「自分は絶対に習いたくない」と思った。

「自分はそんなふうになったことがないからわからない。むしろ若い頃は本番の方がうまく演奏できた。」

これは真理だと思う。教授は本当にそう思ったし、私も友人に相談されても同じ意見だった。なったことがないし、文献もみたことがないから知識もないし、どう解決するかなんてわからない。結局は本人が解決するしかない。

しかし、教授は、師匠は、やはり寄り添うべきだと思うのです。

その解決策がわからないときにこそ、悩む生徒のために考えることができるのが本当の名教授なんじゃないかなと思います。まして、生徒が頼っているのなら尚更そう思うのです。

師匠の名声や演奏でついていくのも良いと思います。しかし、本当に生徒を考えて真剣に向かい合っているのか。そこが重要なんではないかと思うのです。

あなたの師匠はどうですか?



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