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行間を読むということ。楽譜と台本、演奏家と役者の共通点。

こんにちは! ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生を楽しんでいきましょう♫

さて、来月からオンラインサロンを始めるのと、演奏家のためのセミナーを再開することもあって演奏について考えることが多いのですが、来週からのハニーファニークリスマスで役者さんの演技を見ていると共通点が多いなーと思ったりするのです。

楽譜と台本。物は違えどやっていることは同じ。

演奏家は楽譜を見る。役者は台本を見る。そこから準備が始まります。

これはなかなか理解されないことなのですが、演奏家も役者も舞台に出る人たちにとってまず最初の仕事はこの準備。楽譜を読む、台本を読む、そこから自分が本番に向けてどう作っていくかがまず問題です。

役者さんの台本を今回、見ながら音楽を入れる箇所を考えたりして、実際に演技を見てタイミングを決めたりしているのですが、台本って普通にセリフが並んでいるだけ。言ってみたらバロック時代までの楽譜みたいな感じ。ただ音符が並んでいるだけ。バロック時代の楽譜は強弱もほぼ書いておらず、音符が並んでいるだけです。たくさん書いてある楽譜は後世に改訂された物です。それを読んで「楽譜通りに」と考える人たちも多いですが、今回はその話ではないので戻します。

そう、ただセリフが書いてあるだけ。どんな雰囲気かがごくたまに書いてあっても基本的にセリフの文章が書いてあるだけ。でもそこから役者はどんなスピードか、どんな声か、どんな表情か、どんな動きか、どんな間か、などなどたくさんの表現をつけていきます。

これは演奏でも同じ。楽譜に書いてある音符をただ演奏するだけでなく、それがどんな音色か、どんな音程か、どんなハーモニーか、どんなフレージングをするのか、どんな間を取るのか、様々なことを読み取って、試行錯誤して一つの表現にまとめていきます。

しかし、ここでどれだけ読み取れるか、そしてそれを表現できるかがプロとしてのレベルになってきます。この読解力と表現力は常に同時に勉強していかなければいけません。人生と共にそれを日々積み重ねているからこそ、演奏家も役者も歳を取れば味が出てくるし、若い時期だからこその良さも出てくるのです。しかし、この読解力と表現力に関してはクラシックの演奏家には乏しい人が多いと最近とても思います。

空気感まで合うと気持ち良い

演奏でこの空気感だったり感情や雰囲気の流れがない人もとても多い。演劇でもやはりそれがなければただ言葉を並べているだけになってしまいますよね。その空気感をだすということはそれだけのエネルギーとそこに入り込むことが大事です。

この空気感も合うととてもやっていて気持ちが良いです。そして流れが共有できると合わせやすい。演奏の不安もなくなってきます。

実はプロの演奏でも音がぴったりあっていなくても「うまいな」「良い演奏だな」って思う時ありますよね。あれは流れや空気感が合っているんです。

精神論が嫌いな私は、実は精神論者

私はこれまでのnoteでも書いている通り、無駄な精神論が嫌いです。音楽表現をするために酒を一気飲みしたり、たくさんの人とセックスをしたり、大声を出したりすることは意味がないと思っています。昭和な精神論は大嫌いです。

かといって私は技術的なことを整理して話すうちに「根本が伝わらないのではないか」と指摘を受けるようになりました。

そう、根本は表現をしたいという気持ちがなければいくら技術を磨いて表現力を頭で整理して身につけても人には伝わりません。私としては、情熱はあって当たり前という考えだったのですが、どうもそうではないようです。演奏していても全くエネルギーが伝わってこない人も多いです。

今回、役者さんたちの稽古を見ていても改めてこの「根本的なエネルギーと情熱」が大事なのだと思いました。そして彼らはそこからいろいろな表現をしようとしているからこそ伝わる。それが本番でうまくいくかはわからないけど、大事なのは練習から100%で表現していくこと。本当にみなさん、気持ちが込もっているのです。なんとなく気の抜いた感じで終始することが皆無。これはクラシックをやっている人たちにはぜひ見てもらいたいところだけど、さすがに稽古は見せられないのが残念。

かといって気持ちだけが先んじてしまってもわけがわからなくなる。このバランスが大事なのですが、その辺も演技を見ているととても勉強になります。ドラマや映画でも良いんですが、そういう目線でもぜひ自分の演奏の糧にして欲しい。

アクリルジャンクションは来週水曜日から五日公演。もしご興味ありましたらぜひいらしてください。

それではまた。これから金曜の銀座アンクの合わせに行ってきます。そのお知らせは明日(当日ですがw)。今日も良い日をお過ごしください。

蛯澤亮でした。

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