死なずモノどもケンカ

死なず者の喧嘩は過激であふ。死なぬ。まずは腕を引っこ抜く。目玉をたたき潰す。ナニをしても相手は死なぬから、死なぬ者同士の喧嘩は過激になるばかりで加減を知らぬ。たがいに、カラダがバラバラになって、ようやっと手出しができなくなって、喧嘩はお開きである。死なず者の喧嘩は手加減がない。

美しき人魚姫たちも、このときばかりは、般若の形相となる。千切れてバラバラになった死なず者のカラダは、20年ほどかけて、くっつき、再生する。その頃には喧嘩の熱も冷めているから元通り、何もかもが元通り、である。やはり人魚姫も妖怪・ばけもの・怪異なるモノであった。

この世に美しいだけの生き物なんざ、居ないので、ある。
くわばらくわばら。

END.