ほら、ホラーだった!!

詳しく知れば知るほどホラーだった。隣人について。知人について。友人について。仲間について。家族について。

理解できない。
当たり前ではあった。

だって、あたし、自分のことも理解できない。どうしてかそんな気になってちょっと桁外れな行動をしたり言ったりする。
後で、なんであんなこと。後悔するのに。

穴に入りたい、そんなのまだマシで人魚姫みたいに誰にも知られず泡になりたい。母さんの子宮に帰りたい。生まれる前に帰りたい。そして卵子をゆずる。産まれてくる子は、もはやあたしではなくなる。

でもそれでもよかった。今までの罪が、清算されるなら。

人間はおかしい。生きているだけで金がかかるし、罪をかさねる。
生きていることすら罪、それが人間。
あたしには、周りを止めるチカラがない。冷暖房の温度を高く、低く、そうするチカラだってない。父さんがいると夏は寒いし冬は暑かった。

でも、仕方がないから。

皆してこれを受け容れる。
仕方がないから。
でも、そうすると、ムクムクと魔女の芽が伸び上がる。父さんの介護なんかするもんか、老いていく父親を見ながら心に決めた。母さんの献身を見ながらやりすぎだよって教えてあげたい。

人間は一人で生きられるのに。
どうして?
どうして皆、助け合うの?
ほんとうは自分のために助けているのに。そういう奴に限ってどんどん図に乗る。ワゴンに隣の家の知らん小僧が乗ってきて「どうもー」なんて言った。

「どうも」

あたしも、仕方がないから、ふつうの人間のふりをした。
親切な、年上のお姉ちゃん。

人魚姫みたいに可憐で優しくて笑顔がかわいいオンナノコ。知らん隣家の息子は、赤面した。知らんことって罪だと、あたしは、なおさら自覚した。

だからって、どうもできんけれど。
あたしだって人間だ。
仲間はずれは、イヤだもの。罪。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。