解体ラブスト-ショート-8
「くさいです」
沙耶ちゃんの一言にボクは息は止まることはあると知る。
生きていても。
死んでおらずとも。
ふいに、売り飛ばした者ら焼き払った者、埋めた者、死体をやまほど思い出す。
それ、どんな臭みなのか。屠殺場で働く当矢沙耶からも、殺場独特の油と血の臭いがする。それと似ているのか。
沙耶ちゃんは、おにぎりの包み紙を見つめてシブい顔になる。ん? と、なった。
「……さすがに4日目の白米をおにぎりにするのはマズイですかね……」
「…………」
……フ、なんだか妙に子ども臭さがした。乳臭さとでも言い換えが効く。何してんのさ沙耶ちゃんは。
みすぼらしいお昼ごはんをボクはただ、横から見て、そしてうなずいた。
「どんな生活してるのさ沙耶ちゃんは?」
「ふつうですよ……」
腐ってない? 米。
END.
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