終わると気が好きなの!!

魑魅魍魎は跋扈した。過去の話だ。うわさ、神話、都市伝説ではなくって事実の話。しかし連中は、ホモサピエンスが歩いておおきな脳味噌を持つにつれ、姿を雲がくれさせだした。

そうして人間になったホモサピエンスに好きに地上を制覇させた。連中は、自分たちは、創作である、童話である、錯覚であると彼らが結論するように仕向けた。

魑魅魍魎の人間ではないものたちは、宇宙に出られる、星の外でも生きられる連中を除外すると、星のなかに閉じ込められたもの達でもある。脱出できず、しかし死なず、星とともに生きて星とともに死ぬ、いわば星が創り出した星の奴隷たちである。
人間ふうに言えば、魑魅魍魎悪鬼幻霊幻獣などは、星にとってのエンタメであって娯楽に過ぎず今日のSNSのトレンドを見たり新聞紙を見たりテレビをつけっぱなしにする程度の生命だった。

星を神とした、奴隷。
それが不老不死たる魑魅魍魎の本質である。

だから、だからこそ、連中はホモサピエンスの進化の匂いに気づき、その血なまぐさい臭さ、腐敗臭にも気がついた。

複雑怪奇なシステム、歯車の組み合わせは、ネジひとつをねじ込むだけで故障しかねないものだ。星というおおきな器の命もそれに似ていた。ホモサピエンスは、星を知らず、宇宙を先に夢見るような、脳味噌がちょっと大きいだけの二足歩行の蟻たちだった。

化け物、百鬼夜行、魑魅魍魎たちは、いなくなるフリをする。
人間たちにこの星の勝者と信じ込ませる。

未来に待つものは、腐敗臭とこのツンとした臭みとエグみでよくわかる。破滅。そのふたもじ。地球という星の崩壊をもたらす、おおきなおおきな可能性を背負う、それが人間たちだった。

魑魅魍魎たちが期待する、人間たちだ。

星を終わらせろ。
永遠永劫の時間を終わらせろ。

星の未来を潰せ!
星を食い潰せ!

人間は、未来の希望をのせて宇宙にロケットを放って宇宙開発なんて始めているけれど、人間こそが魑魅魍魎たちのロケットである。
星の内側、星のなかに向かって、星の中核に向かって放たれる、致命傷のロケット弾だ。宇宙とは、真逆の方向だった。

いずれにせよ人間にはおおいなる期待がかかっている。
どちらを向こうが、構わず。

放て、放て、地球上の生命のすべてが、なんらかのそうした共通の祈りを持っていることを、星は星として気がついている。
星の好む、エンターティメントであった。

エンタメの日々はまた明日も続く。いつまで見られるかなぁ? どうなるかなぁ?

ドラマか配信を見る人間みたいにして、おおいなる期待を寄せ合う蟻たちを包む地球の天空は、今日も青かった。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。