死なずの仲間たち

「どこで食わされたかわからんのよ、それがよ。冒険はそりゃいくつもしたさ! たっくさんの美男美女、老若男女の世話になったさ。だからどこかの家庭で食わされたんだとは思うぞ。感謝のご馳走だったのか、悪意あるイタズラだったのか、そもそも家に招かれたことそれが罠だったのか……、なんもわからねぇ」

「だが、俺は斬られても死なない体になっててよ。気付いたら。いつの間にかモンスターの仲間入りさァ。まぁ、俺はほんとは田舎出身のただの木こりでな、気にしねぇことにして勇者は名乗らせてもらって人助けはしてるよ。ほんでもう500年は過ぎたかなぁ」

「し、しんっっっじられない……!! こんな根アカすぎなやつが人魚を食った仲間!? もっと陰険に嫌嫌食わされて生きるのが嫌になってるやつとかじゃねえーの!?」

「はははは。自己紹介か? 坊主よ」

「オレはもう107歳だ!!」

「じゃあ7歳みてぇなもんだわな」

勇者は晴れやかに笑う。死なずのアンデッドあるまじき、豪快な明るい大声で。

ともかく、こうして、人魚に呪われた少年に仲間ができた。これから何百年、何千年をともにする不幸な仲間……のはず。

END.

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