解体ラブスト-ショート-5

「ハミガキの味がからい」

「ふあ?」

ヘトヘトになって夜更けの帰宅をしたあと、歯ブラシをしてもう寝よとしたら。

ヒモが。

ヒモが、急に歯磨き粉について文句を言う。なんだこの生活は。ヒモってしゃべっていいの、忙しいときに。

しーさんは、カガミ越しに、眠たそうな半びきの目で私に訴求する。

器用にシャコシャコと磨きながら、なんてことなく会話をし始めている。

「ミントとかさ。味、あまいのは俺もどうかと思う。でも漢方薬って……いつか言おうと。いやツッコミしようと。漢方薬の歯磨き粉っておばあちゃんか、沙耶ちゃん。他のが欲しいせめてミント辺りにしない? 安いやつでいいから買って」

「ひうにばびお」

「急になにを? いやずっと思ってたから。言ってるだろ」

「なべべはべるのふまい」

「なんで喋るの上手い? そりゃ、……風俗ってハミガキしょっちゅうやるから……沙耶ちゃんエルボーはやめて、ハミガキ粉飲む、喋りながらソレやられるの飲みそうになる」

「ほへっ!!」

飲め!!

変に眠気が覚めた。いや冷めた。疲れは2倍でドンという。

いちばん安いミントの歯磨き粉にしてやる、会社近くの安売りストアのやつ。



END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。