解体ラブスト-ショート-17
ボクに眠りは必要ない。
眠るとするなら死ぬときだろう。恐らく、死ぬ前から、その虚無に出逢う。既に、もう傍らにいるつもりで、ボクは明日も仕事だけは済ませておく。
仕事をしていれば考える暇も埋まる。隙間も余白も何も無くて済む。うるさく、何かを言われる隙も与えない。それに、ボクは気がついたら泥まみれの汚れ仕事を請け負っているから、次からは率先して引き受けていくようにすると、ボクにちかよる阿呆は消える。
ボクに殺されると思ってくれ。
近寄るなら。
いつでもボクに殺されると怯えてくれ。
うるさいから。近寄られてもハエの羽音としか思わない。それ以上に他人をどうこう思うわけがない。
この世は肉の袋だらけ、肉が息を吸い排泄して朽ちるだけの世界。
生きるなら、死んでゆくということ。
生きているなら明日はもっと死に近づく。死に一歩ずつ近寄る、それが毎日だ。万人にとって必ず。
ボクにしたって。
必ず。
いつ、その虚無が目の前に立つのか、そのときをボクは明日もずっと先も待っている。ずっと。
それ以外に、ボクには何も無いから、うるさく言われないように仕事は済ませておく。
ああ、ドライブは、趣味と言えるかもしれない。虚無とちがって、なまぬるい、温度に、全身が包まれる、から。
END.
読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。