腹の底はロマンチックに

不死なる怪異が肉を喰う。すると、喰ったものは宇宙に射出された。不老不死に栄養はいらず、滋養も不要である。不死の命のみなもとは宇宙の果てに通じていて、不死者が喰らったものは皆、スペースデブリ、つまり宇宙ゴミとして遥か数百万キロのどこかに捨てられる。

不老不死なるものは、だから太らない。しかし娯楽として食を喰らう。スペースデブリが減らずに増える理由である。

人類がそれを知るにはまず宇宙進出と定住を果たすこと、そして、不老不死なる命、例えば人魚などを深海から発見することが必要であった。世界、次元、宇宙はひろかった。

ひろい、という言葉で足りぬほど。
無限に近い有限が空にある。スペースデブリは、流れ星としてたまに人類に夢を見せていた。

まだまだ、真実には、遠い。しかして夢は近いから、どちらが幸せかと言えば人類の特質からして今のままのほうがよりよい幸せを感じられるだろう。

人類は、ロマンチストであるから。


END.

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