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お気に入り短編まとめ

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これ好き、好評だったな、な短編小説。更新120日目に突入した記念に。読んだりスキをいただいたり、ありがとうございます。
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#短編小説

プルトギニユンと怪物

海溝はふかく、複雑に入り組んでいた。一方では地底マグマのほうへと地下深く削りそびえ、一方…

海老ナビ
3年前
9

心臓と熱帯魚

翻訳機を通して、ガーガーと錆び付いた声が届いた。 「あな……たの……心臓……」 「おや? …

海老ナビ
3年前
10

ヤンデレ処理ゴミ捨て場

みどうはるか。は、『あいうえお表』から、適当に拾われてきた名前だ。このキャラに名前は必要…

海老ナビ
3年前
7

三道の武家むすめ

三道遙佳は、三道に通じている。彼女の場合は兵法のことで、兵を用いるための三つの方法である…

海老ナビ
3年前
4

note

未瞳春花はクレープが食べたい。原宿、竹下通りにママと手を繋いでやってきて、春花はママに頭…

海老ナビ
3年前
6

私の夫と深夜3:33のパンケーキ

私の夫は『変』だ。 よい『変』なところは、なんだか暖かいところ。春ともなれば蝶々が寄って…

海老ナビ
3年前
5

マーメイド・マンション

人類、ついに砂漠にまでマンションを建て始めている。そうかと思えば、また人類初なんてキャッチコピーがチラシに踊り、舞台は日本だった。日本海の水底にマンションを建築するらしい。 世の総人口はいまや1100億人。住まいと土地は慢性的に不足がちだ。地表を覆っても人類の住める場所がまだ足りないし、人類はまだまだ増える一方。食糧問題も深刻だったが、土地問題も深刻だった。 学者が嘆き、安全性などが問題視されるなか、『マーメイド・マンション』の第一号は完成した。パイプにより酸素を送られて

教授の免許返上(たんぺん怪談)

蛙洞立芳教授は、今年六七にもなるが、海辺の自宅から数キロ先までの勤務地である私立大学まで…

海老ナビ
3年前
3

捨てた森の海の魚子

古来、忌むべき習慣として姥捨て山なるものがあった。この山もまた働けなくなった、動けなくな…

海老ナビ
3年前
4

一匙の夢を食べる

スプーンにひとさじ、夢をすくう。プリンに穴をあけるように。スプーンが侵入してスプーン以上…

海老ナビ
3年前
4

悪魔のジュース(コメディ)

「あのぉお……。ゆみ君のお母さんさん、ゆみ君の血まで、悪魔に染めないでください。勘弁して…

海老ナビ
3年前
3

好きの枯渇と干からびる僕

これ絶対泣けるから!! 意気揚々とカラオケにいれてアイドルの応援歌を歌いあげた僕を、彼女…

海老ナビ
3年前
7

海の家のマーメイドプリンセス

人魚姫が恋をする。なにも、嵐の日に難破船から救った王子に恋をして、とか、王子のためにすべ…

海老ナビ
3年前
3

ヒンギスの悪魔の森(ダークファンタジー)

 懐かしい、故郷の蒸し風呂を思いながら、騎士は右腕をふりかぶって蔓を両断した。絡まり合った蔓がはらはらと左右に広がった。  行く手はいまだ先が見えない。  蒸し風呂ジャングルに、呼び声は落ちる。 「騎士どの」  騎士はそれを無視して剣をふるう。  蔓が落ち、枝が散り、葉が飛んだ。 「若き騎士どのよ。おお、麗しの大聖都エースマティーディより来られし聖なる若君よ。そちらはさらなる奥地と知っているか」 「無論!」  ふりむかず、揺れる稲穂と同じ色の髪を揺らして騎士は剣をふるった。