教授の免許返上(たんぺん怪談)
蛙洞立芳教授は、今年六七にもなるが、海辺の自宅から数キロ先までの勤務地である私立大学まで車を運転させるのを日課にしている。市バスもあるにはあるが、運転が好きだったので、この習慣は実に三十年も継続していた。
どんッ!
ある夜更け。帰宅途中に、ミニバンに衝撃が走った。なにかしらが衝突したとすぐに悟る。事故だ。教授は慌てて車を降り、ぶつけたか轢いたかしたものを捜した。スマホを片手に救急車の準備をしながらだ。
だが、救急センターにコールはしたが、教授は、電話の向こう側になにも答え