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ツカミとオチに見る、大阪的笑いの構成力(Vol.1)

「大阪人らしくない、大阪人。」

僕が東京に出て来て、
初めてのレストランでの、
シェフからの評価だ。

ホテルマン出身だったこともあり、
イントネーションが標準。

堅い接客をしていたからか、
礼儀正しく、如才なく。
な、立ち居振る舞いが染み付いていた。

「大阪人のくせに、会話にオチが無いんだよ!」
と、シェフにいつも文句を言われていた。

うっせーな。大阪人全員が
タコ焼き器持ってるわけちゃうねんぞ。

と、心の中で毒づいていたことは秘密だ。

地元大阪では。

やはり、オチ構成が上手な人が多い。

上級者は、会話の流れでオチを見つけ、
そこに向かって話を進める。

会話がズレたら、また軌道修正して、
必ず面白い、違うオチへと導く。

他の地域に比べて大阪は、
そういう人が多いのは間違いない。


で、そういう人はだいたい、
パターン的に2種類に分かれる。(僕調べ)

自分でそういう空気感を作り出し、
定番的な個人芸でオチへ持っていく人と、

会話に合わせて、
驚異的な記憶力と洞察力と表現力を組み合わせて、
絶妙なオチを言う人だ。

これらの人は、どっちのスタイルでも、
クラス、職場問わず、必ず人気者になる。

分かりやすく言えば、
その最もレベルが高い例が、

前者は浜ちゃんで、
後者は松ちゃんだ。


東京の別のレストランで働いていた時に、

大阪のオッサンの面白いところ。

として、
お客様が大阪に出張に行ったときに出くわした、
あるシーンをあげて、説明してくれたことがある。

淀屋橋という、日銀や有名企業のビルが立ち並ぶ、
金融街ど真ん中な場所がある。

ニューヨークのウォールストリート的な感じ。
と言えば想像できるだろうか。

その金融街ど真ん中な、淀屋橋の交差点。
オバハンが青信号点滅で渡ろうと、
そそくさと小走りになった時に、

一緒にいた、旦那であろうオッサンが、

わしゃ、渡らへんで~!!!

と叫んでいたそうだ。

でも渡り切って、そのまま進んでいくオバハン。
オッサンは、赤信号中もず~っと、

わしゃ、渡らへんで~~!!!
と叫び続けていて、

そのあいだもオバハンは、
もう見えなくなるくらいまで、
歩みを進めていたらしい。

聞いた僕は、さして驚きもしない。
オモロいのは間違いないが、
大阪あるあるやな。
という感想でしかない。

けれど、そのお客様には、場所も相まってか、
余りにも衝撃的なシーンとして映った。
という風に言っていた。

そんなん、ふつうですよ。
と言おうとしたが、
言い方オモロなくて悪いかな?
と、思わず口にしたのが、

大阪はオバハンが一番強いんですよ~。
ほら、ヒョウ柄着てる率高いでしょ?

と言ったら、えらい大ウケされた。

とりあえず、オチたみたいだ。


前述のような人気者は、
やはり少数派である。

大多数は、ド定番のツカミとオチを使う。

大阪的ツカミとオチとは

何か?それは、
共通認識のスタートとゴール
である。

大阪的ツカミとオチの共通言語がある。
それが吉本新喜劇である。
大阪では子供のころから、
テレビを通じて慣れ親しむ。

故島木譲二さんのパチパチパンチって知ってます?
あれ、なんも面白くないですけど、オモロいんです。

そのド定番で締めくくるゴールが、

なんでやねん!とか、
あほか!とか、
ドアホ!とか、
知らんけど。とか、
オバハンネタとか、
前述の吉本新喜劇ネタとか、、、

一般的なツカミとオチは結局、
どれもこれもベッタベタのド定番です。

そこに行きついてこそ、「落ち着く」

そう、オチがつくんです。

大阪的笑いの構成力は、

ツカミはそれぞれの個性で突っ走って、
話し始めたら、それぞれがツーカーで、
自分のポジション見極めて、
分かりあってる的な感じです。

話しの佳境を越えたら、
ベッタベタのド定番でオチて、
最後はみんなで笑って、ハッピー(笑)

それが大阪的ツカミとオチなのです。
知らんけど。

最後まで読んでもろて、おおきにやで~。

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