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雑誌と新聞を読んで最近気になったことと、その記事 | 2020.06.06

「広報」の仕事をする上で、媒体をチェックするのはすごく大事。ということを、最近改めて師匠と崇める方から教わった。その方は、広報界・メディア界では大御所的存在だけど、それでも毎日欠かさず媒体をくまなくチェックし、メディアの人とコミュニケーションを取りながら限られた時間を最大限活用して日々成果をあげていらっしゃる。その行動の質と量たるや、驚きでしかない。以来私も、日経新聞紙面、dマガジンでの雑誌閲覧は毎日欠かさずに行い、ベンチマークしているWEB媒体や紙面媒体のオンライン版もチェックしたりしている。ということで、日々目を通すことで気づいたことや、得られたヒントをここに備忘録的にまとめておこうと思った。広報職ならば、もしかすると参考になるものがあるかもしれない。

ただ、大前提だけど、広報はメディアに露出させることがすべてではないと、私は思っている。その露出を機に、自社のサービスや商品が世の中にどう伝わったのか。(いや、そもそもちゃんと伝わったか。掲載=伝達ではない。)それによってどんな空気感が漂い、意識の変化が起こり、行動を誘発できたのか。そこまで考える必要があると思っている。だから、媒体研究や露出はそのはじめの一歩。ここにゴールがあるわけではないことを、自分に言い聞かせるつもりで記しておこう。

5月発売の6月号・7月号の中で、特に社会性の高いテーマを扱ったものをピックアップしてみました。コロナ禍であること、取材や撮影ができない中で、各出版社・編集部も相当に試行錯誤していると思うのですが、それが見事に一冊に詰まっているな〜と感じたものについて触れてみようと思います。

anan 6月10日号「自己肯定感ワーク」

働き方改革の流れで自己肯定感や幸福感がビジネス系のメディアを中心に取り扱われることが多くなったことは感じていましたが、あのananが大特集として扱うとは!と、個人的にちょっと意外。ここまで浸透してきたんだなーと感じたものです。心理テストで自分を理解するところからはじまり、自己肯定感を高めるために必要な具体的な行動解説、そしてワークブックには「ジャーナリング」「アートセラビー」でそれぞれワークが実践できるようになっているという、読み物を超えた企画精度の高さに感服です。すぐさまその分野で活躍する友人に勧めたものです。

こうした社会性の高いテーマは、企業とメディアが接点を持つチャンスだと思っています。何を隠そう、こうした問題と日々向き合っているのは企業ですからね。人材活用や人材育成=「HR」部門はこの手のテーマに詳しいはずですから、企業のPRを兼ねて誌面へコメントを寄せたり、企業内の取り組みを紹介するなど、よりリアリティのある誌面づくりに協力できるのではと感じます。今後も特集内容についてはウォッチしていきたいです。

CREA6・7月号「偏愛のすすめ。」

昔は変態や異常者的な扱いをされていましたが、マニアやオタクもだいぶ市民権を得たというか、むしろ崇拝される存在になっている気がします。これは、趣味嗜好も十人十色的な多様性を容認できるようになったという社会の空気感の変化と、なんでも揃う世の中で嗜好がより細分化されたこと、情報過多社会によって求める情報がどんどん進化・深化していることなどが背景にあると勝手に思っています。つまり、偏愛することは専門性が高く、一貫した軸を持っている証であったり、没頭・没入できるって面白いということを解くポジティブなテーマとして扱われているのも個人的にいいな〜と共感しました。

で、話を広報視点に戻すと、プロダクトを持っているメーカーさんなどは、「出番です」という感じですね。商品開発担当者なんて、まさに「偏愛の極み」じゃないですか?競合商品を研究し、どうしたら既存商品を超えてより“よいもの”が生み出せるのか、それはどこにこだわったからなのか?みたいな話はまさに偏愛です。開発秘話だけでなく、その商品を“どう楽しむ”のが最も価値を享受できるのかって、開発した人でないとわからなかったりします。ちなみに今号で私がツボったのは70ページ。「カツカレーの食べ方図説」というタイトルで、カツカレーの写真に、どの順番で食べ進めるかという手数が書き込まれています。興味のない人にはどうでもいいかもしれませんが、カツカレー好きには超興味深いと思うんです。カレーでさえ、ルーと白米のバランスを考慮して、どっからスプーンを入れるか、どう皿に進出していくか、みたいなことを無意識に考えているわけで、そこにカツが加わろうもんなら、これって最高の謎解きじゃん!って個人的には感じます。そういう視点で自社商品を語れる、あるいは代弁してくれるファンがいるとすると、この手の特集に掲載のチャンスがあるというわけです。日頃から自社商品を掘って掘って掘りまくる。そこから媒体掲載の機会も広がっていきそうですね。

GQ JAPAN 7.8&9月号「A MESSAGE OF HOPE」

現在発売中のGQは思わず表紙に目を惹かれたのですが、創刊以来初となる、人物写真のない表紙なのだそうです。この事実が、何よりコロナの影響の大きさを物語っていると驚きました。ちなみに、表紙には直筆で書かれた文章が掲載されているのですが、これはリリー・フランキーさんが編集部宛にFAXで送ったメッセージの一部を切り取ったものだそうです。特集テーマは「A MESSAGE OF HOPE」。著名人161人によるコロナ禍において世の中に発せられたメッセージです。

取材ができないこの状況下において、本当に必要なコンテンツは?と問い続けた末の壮大な企画のような気がして、誌面づくり、コンテンツづくりの多様性・可能性みたいなものを強く感じました。ということは、これまで常識だと思っていたこと、雑誌ならこうでしょって思ったことが覆されるということ。諦める必要はないってことを、このコロナ禍において感じました。雑誌の読者層やコンセプトを深く理解して、「こんな企画はどうですか?」と提案する余地は、案外大きく存在するってことが証明された気がしたということを学びました。

さて。あとは行動のみです。


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