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カンカンの中にはファンタジー

デパートがホワイトデーで賑わっていた頃、自分のご褒美に日頃買えないお高めチョコを買おうと、某ショッピングモールへ出かけた。
するとそこにはポケモンの缶のお菓子が売っていたので、ポケモン好きとしては素通りできず、吸い込まれるように立ち寄った。

私が真剣にどれを買おうか吟味していると、私の後ろにおばあちゃんと孫のような方々がやってきた。

「ばぁばが去年くれたのに似てるね!」

少年はメッソンやサルノリ、ヒバニーがプリントされてるカンカンを指さした。

「そうだね。カンカンはどうしてるの?」
おばあちゃんは優しく問いかけた。

「たからもの入れてる!誰にも見せてないの!」
少年は笑顔で告げた。

「ばぁばにも見せてくれないの?」
「ダメ!ひみつ!!たからものだもん!!」

少年は気づいていないかもしれないが、おばあちゃんは大変嬉しそうな顔をされていた。

自分があげたカンカンが宝物を入れる大役を背負っていると聞いたらさぞ嬉しいことだろう。

中身こそ教えてもらえなかったが、おばあちゃんはとても嬉しそうに「大事にしてくれてありがとうね」と少年と手を繋いでその場を後にした。

あまりに尊い会話に気づいたら全種類買っていた。

私はこのカンカンに何を詰めようか。
ポケットの中にはファンタジーと歌われている曲があったが、残念ながら私は形あるファンタジーは持ち合わせていない。

何も入れないのも寂しいので、とりあえず今は小さなイヤリングを入れる役目を果たしていただいている。

いつか形あるファンタジーを詰めれると信じて、まだ何も入ってないカンカンの保管法を考えた。

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