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働き方改革は「マインド」改革

 ここ1年で、働き方改革が進んでいるという学校を10校ほど視察した。
 そのうち数校は、研究のために、管理職の話を聞くだけではなく、先生方へのインタビューも行った。

 「働き方改革が進んでいる」といわれる学校ばかりであったが、どの学校においても、大きな目玉的な取組は少なく、会議や行事等の精選、ペーパーレス化、校務のデジタル化、教育課程の工夫、スクールサポーターや留守番電話を設置など、多くの学校と同じような取り組みをされていた。
 にもかかわらず、「働き方改革が進んでいると実感している」「精神的なゆとりがある」などの項目に対して「かなりそう思う」と回答する教職員の割合が高いのである。また、他校と比べて学校全体の残業時間もかなり減っているという結果も出ていた。
 持ち帰りの仕事もかなり少なく、中には、小規模校であるが、多くの先生方がほとんど仕事を持ち帰らないという学校も存在したので驚いた。

 他の多くの学校と同様の取組をしているのにもかかわらず、なぜ、結果が出ているのか。
 学校によって、うまくいっている要因は様々であり、複合的であると考えるが、インタビュー等をして強く感じるのは、先生方の仕事に対するマインドが働き方に大きな影響与えているということである。

 A学校は、管理職のリーダーシップのもと、次の3つの「問い」を合言葉に仕事をしていた。仕事に取りかかる前に確認するのである。

「その仕事の目的は何か。」
「目的を達成するには、必要なことは何か。」
「やらなくてよいことは何か。」

 例えば、毎年30ページにわたる「宿泊学習のしおり」を作成していたA先生は、「宿泊学習のしおり」は子どもたちの自立を促す1つのアイテムとしてとらえ、しおりの内容を見直すようにした。

 見直してみると、「あいさつをしましょう」「食事前は手を洗いましょう」などの当たり前のことや、子どもたちの行動をコントロールするような禁止事項なども多く書かれてあったという。その多くが日常指導できることばかりで、しおりに載せる必要性を感じなかったようだ。

 A先生は、学年チームと話し合い、子どもたちの自立を目指すために記載する内容は、「子どもたちの目標」「振り返り」を記入する欄、「スケジュール」等のみとし、しおりは5ページほどになったという。しおりのページ数が少なくなったことで、もちろん、印刷時間の短縮が図られた。しかし、それ以上の効果があったとA先生は次のように話してくれた。

 「これまで行事をただこなすだけだったが、その目的を改めて考えてみることで、本質的な指導や準備をすることができた。」

 以上は一例であるが、A学校は3つの問いをもとに、従来の仕事を見直すマインドが学校全体に定着しているようであった。

 本当に必要なことを見極め、そこに注力する。
 資料は必要最小限にとどめる。
 提案資料においても、誰が、何の目的で読むのか、何が分かればいいのかなどを考えて作成するなとどの共通認識がなされているようである。

 働き方改革は「取組内容」も大切であるが、もっと大切なのは「マインド」である。「マインド」がないと取組は形骸化してしまうということを改めて感じている。
 




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