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俳句(鏡の我)

全身鏡下腹部位置のこすり痕

退屈な蛇のようなるコード無数

目を合わさず鏡の我とさえも夏

通過せりけふは祭の駐車場

十年後のバイト店舗や草いきれ

夏館幼女の肉になにを盛らむ

(1945年4月末、ミラノ近郊)
給油所にムッソリーニの逆さ吊り

百合萎れゆく青年の笑声に

一人席の灯火は淡し夜の蟬

押し倒す梅雨の閲覧室五階

(前安芸高田市長、前東京都知事選候補者)
平伏を迫る叱声藪枯らし

血管の隆起へ蚊針深きかな

此度の洪水にノアは指名されず

索引のなき大冊や梅雨の寒

胴体の喰ひ尽くされし兜虫

めつぼうをしめくくる音、蝉時雨

黴型の滅亡スイッチ浴室に

夏痩せてカフカ伏目の青光

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