400字小説「真夜中の呟き」


螢の光がちらつく画面を見つめる。時計は午前3時を指している。また一晩中、眠れそうにない。

窓の外は静寂に包まれ、時折聞こえる風の音だけが、この世界がまだ動いていることを教えてくれる。

頭の中では、昨日の出来事や明日の予定が、まるでリールのように回り続ける。止めたくても止まらない。

ため息をつきながらベッドに横たわる。天井を見上げると、そこには月明かりが作り出す不思議な影絵。

眠れないことへの焦りと、この静かな時間を楽しむ気持ちが入り混じる。矛盾した感情に、少し笑みがこぼれる。

スマートフォンを手に取り、SNSをスクロール。みんな眠っているのに、自分だけが起きている気がして、妙な孤独感を覚える。

でも、きっとどこかに、同じように眠れずにいる人がいるはず。そう思うと、少し心が落ち着く。

やがて東の空が少しずつ明るくなり始める。新しい一日の始まりを告げるように、小鳥のさえずりが聞こえてくる。

結局、一睡もできなかった夜。でも不思議と、心地よい疲れと共に、静かな充実感が胸に広がっていた。

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