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『トカトントン』


こんにちは♩
今日は、太宰治『トカトントン』を読んでの感想文です。
どうぞお付き合いください。



釘打ちの音が示すもの

この小説は、戦後を生きる少年の苦悩を描いた作品で、作中では「トカトントン」という音が何度も出てきます。
この釘打ちの音は、敗戦のラジオで聞こえた音です。
この音が象徴的に表しているのは、やる気を全てなくしてしまう何かです。
その何かの正体は、戦中躍起になって兵隊として天皇のために生きたというのに、敗戦を通じてその情熱も一心に打ち込むことを否定されたという経験です。


小説を書くこと、女性と付き合うこと

主人公が小説を書こうとして、銭湯でどうしようかと悩んでいる内に、トカトントンと言う音が聞こえてきます。
一気にその気持ちが失せてしまい、今までに書いていた軍隊生活の追憶の物語100枚を鼻紙にしてしまいます。
そして、女の子を口説こうと思っても、またあの音が聞こえてきます。
そして、女の子を口説くことをやめて立ち去ってしまいます。
トカトントンは、戦後に何か新しことを始めようとする気持ちをなくしてしまう音なのです。


筆者より

『トカトントン』は下記のリンクより青空文庫で無料で読むことができますので、おすすめです。
私は、この小説から、

人間は、自分の人生をかけてしてきた努力が全く無駄だと思えてしまう経験をしたとき、もう立ち直ることができなくなってしまうことがある。

ということを学びました。
だからこそ、自分の努力は全くの無駄ではなかったのだと思えるようにすることが大事なのではないかと思います。
戦中の少年は天皇のために努力するという運命から逃れることはできなかったし、その経験は想像を絶すると思います。

私たちは、何のために頑張るのか自分で決めることができます
頑張って、たとえ報われなかったとしても、自分の努力が全て無駄ではなかったと思えるように行動をしていきたいですよね。

今日も読んでくださり、ありがとうございました。


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