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未経験から出版社へ。先輩の下積み時代(1)

イースト・プレスでは、業界・職種未経験の方の採用も行っています。
(現在の募集状況:https://www.eastpress.co.jp/recruit.html
いま活躍している社員にも、異業種から転職してきた人が多数。
本連載では、そんな先輩方にインタビューし、「どう仕事を覚えていったか」「未経験から出版業界を目指すために必要なこと」などなど伺っていきます。

第1回の先輩は、書籍3部でBLレーベル「Splush」の編集をしているYさんと、デジタルコンテンツ部で「Splush」の電子配信関連を担当しているAさんです!


●異業種からイースト・プレスに。仕事はどう覚えた?

――お二人とも出版業界はイースト・プレスが初めてだったとのことですが、以前はどんな業界でお仕事をされていたんでしょうか?

BL編集Y(以下、Y):イベント企画会社に勤めていました。

電子担当A(以下、A):私は化粧品会社でした。

――まったく違う業界からいらっしゃったんですね! 今の職種に興味を持ったきっかけは何でしたか?

Y:イベントの告知チラシや冊子を作るときに同人作家さんに頼むことが多くて、その人脈を活かせる仕事の一つとしてBL編集を目指した感じです。あと、もともとBLを読んだり自分で描いたりしていて好きだったというのもあります。

A:前職でホームページの更新作業なども行っていて、それをきっかけにWEBコンテンツの分野に興味を持ちました。あと、大学時代に書店でバイトをしたり図書館司書の資格を取ったりしていたので「本に関われる仕事がいいな」と思って、イースト・プレスに応募しました。

――なるほど! 入社後、はじめは苦労が多かったのではないかと思いますが、どんなふうに仕事を覚えていきましたか?

Y:先輩に質問したり、電話してる先輩の側で聞き耳を立てたりしてました(笑)。あと、とにかくメモを取ってましたね。聴きながらメモを取っているとぐちゃぐちゃになってしまうので、あとからルーズリーフにまとめ直して、自分用のマニュアルをつくっていました。

――なるほど!

A:私の場合、新卒で入った会社は教育体制がなくて……。イースト・プレスで先輩が懇切丁寧にレクチャーをしてくれることに感動しました(笑)。
「こんなにしっかり教えてもらったからには1日でも早く仕事を覚えなきゃ!」と、当時はとにかく必死でしたね。
イースト・プレスも未経験者向けのマニュアルがあるわけではないので、先輩から教わったことをきちんとメモして、自分でまとめるのが大切だと思います。


●入社当初、苦労したこと

――Aさんが入社されたのは2016年。BLレーベル「Splush」がWEBマガジンとして立ち上がったのもその時期ですね。

A:私の入社直後に創刊されたので、レーベルの初期から携わっていました。
BLジャンルは電子との相性が良いため期待値も高かったんですが、最初の頃はかなり厳しい状況で……。しばらくは、採算状況を見るのがつらい時期が続きました。

――Splushの初期、そんな感じだったんですね……!

A:実は、もともと私はBLについて知識がなく、入社してから市場について学ぶことになりました。ジャンルに詳しくないのでどう売り上げを伸ばしていけばいいのかが全く分からず、でも実績を出さなければいけないので焦る一方でした。

――ゼロから勉強されていたんですね。

A:会社として数字を求められるのは当たり前なんですが、当時はつらかったですね(笑)。
2018年にYさんが入社されて、Splushの担当編集が二人体制に。作品数が増えて、電子書店でのフェアなども企画しやすくなりました。
試行錯誤を繰り返す中で徐々にヒット作が生まれるようになり、さらにYさんが担当した『乙女ヤンキーは運命の人を待つ。』や『無口な想いは恋となる』の大ヒットによって、売り上げの大きな山をつくれるようになっていきました。

Y:私のおかげという感じになるとアレかもしれません(笑)。
もともと電子書籍のBLはエロが売れる傾向にあって、青春系BLをコンセプトにしたSplushは伸びにくかったんです。でも、トレンドが徐々に変わって、ドラマ「おっさんずラブ」がブームになったころから、今までBLを読んでいなかった方が興味を持ってくださるようになりました。その流れでライトなBLも流行ってきて、そこにちょうど王道BLである『乙女ヤンキーは運命の人を待つ。』『無口な想いは恋となる』がハマったんです。
Splushというレーベルを立ち上げてくださった先輩と、素敵な作品を描いてくださったマンガ家さんたちのおかげですね。

A:『乙女ヤンキーは運命の人を待つ。』はSplush初の重版にもなりました。ヒット作が次々生まれる中で販促活動も実を結ぶようになり、電子書店の売り上げが黒字になったときは本当に嬉しかったですね。

――レーベルを軌道に乗せるまでにも苦労があったんですね。Yさんも、『乙女ヤンキーは運命の人を待つ。』のヒットまでは大変でしたか?

Y:そうですね、売れる売れない以前に、本を1冊出すまでのフローがわからないところからのスタートだったので……。最初の1年くらいは実績を出せず、病みそうになりながら仕事してました(笑)。

――Yさんにもそんな時期が……。

Y:今はだいぶラクになりましたが、うまく売れなかったときは落ち込みますね。
ただ、書籍3部では月に1回反省会をしているんですが、売れなかった場合も頭ごなしに責められることはありません。「次にどう活かすか」「売るためにどうPRすればいいか」といった建設的な話ができるので、勉強の機会になっていると思います。


●BL好きは、BL編集に向いている?

――「BLが好きで、編集をやってみたい!」という方は多いのではないかと思います。YさんはプライベートでもBLがお好きとのことですが、仕事に趣味が活きることはありますか?

Y:たくさんあります。趣味で絵やマンガを描いているんですが、カバーイラストをマンガ家さんにお願いするときは、自分でラフを描いてイメージを伝えることがあります。

――ご自身でもマンガを!

Y:もともと自分自身がマンガや小説を制作していた、という編集者はわりと多いんじゃないでしょうか。創作経験があるとマンガ家さんの苦労もわかるし、うまく共感しながらコミュニケーションがとれる気がします。

――なるほど。シナリオを考えるときも、ふだん読んでいるBL作品を参考にしているんですか?

Y:ストーリーの組み立て方や盛り上げ方は、過去に読んだ作品を参考にしています。たくさん読んできたぶん、王道はしっかり掴めていると思います(笑)。

――BL好きの天職だ……!

Y:そうですね。ただ、自分の好みをそのままぶつけるわけではなく、あくまで客観的に向き合うようにしています。
私の場合、「マッチョ受け」も好きなんですが、Splushのコンセプトにはあまり合わないので企画することは少ないです。

――切り分けて考えているんですね。


●未経験から出版業界を目指す方に伝えたいこと

――新卒や職種・業種未経験で入社を目指す方に伝えたいことはありますか?

A:イースト・プレスの採用は未経験者にも開かれているぶん、新卒や異業種からの応募もたくさんあるようです。「本が好きだから」という志望動機は全員共通なので、応募するときは「好き」という気持ちだけでなく、「イースト・プレスでどんなことがしたいか、なにができるか」を伝えられるようにしておくと良いと思います。私は面接のとき、うまく受け答えできなかったことを未だに悔やんでいるので(笑)。

Y:いろんなことにチャレンジできる環境なので、やりたいことがある人にとってすごく良い会社だと思います。それに、優しい先輩ばかりで、相談もしやすいです。積極的に話しかけていくと、たくさん学びが得られると思います。

――志望動機と入社後の積極性、大切ですね。最後に、BL編集&電子書籍担当の魅力についてPRをお願いします!

Y:未経験から仕事を覚えるのは大変ですが、マンガ家さんと二人三脚で物語をつくる仕事には大きなやりがいがあります。
いちばん嬉しいのは、読者の皆さんが担当作のファンになってくれること。編集部宛てに届いたファンレターには念のため目を通すのですが、素敵な感想ばかりでニヤニヤがとまらなくなります(笑)。この喜びを味わいたい方はぜひ!

A:紙の本と違い、電子書籍は品切れがありません。読者の方が「欲しい」と思ったタイミングですぐに買うことができるという強みがあります。初速で伸び悩んでしまった作品でも、電子書店のプロモーションを機に思わぬヒットにつながることも。やりがいのある仕事だと思います!

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BL編集&電子書籍担当の仕事について、苦労と魅力がよくわかりましたね。第2回は、コミック編集のIさんにお話を伺う予定です。お楽しみに!

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