見出し画像

監督河森さんと脚本家大野木さんが語り尽くした、分断を越えるためにアニメができること

3月27日に実施したオンラインイベント、「社会的分断を越えるために日本のアニメができること」のダイジェスト記事です。

様々な分断が私たちを引き裂くけれども、人間は分断を越えて誰かを想うことができる。作り物でありながら、感情移入させ、時には涙を流させてしまうアニメの世界は、それを証明しています。
日本が世界に誇るアニメ文化は、今の分断の世にどんな活路を示すでしょうか。

ご登壇いただいたのは、日本アニメ界を代表するビッグゲスト、監督の河森さんと脚本家の大野木さん
さらに司会として東大の準ミス岡田美里さんにご協力いただきました。

スクリーンショット 2021-04-01 005534

イベント内の一番オイシイところを、当日ファシリテーターを務めた、わたくしELPイベント企画担当の杉山が、ダイジェストでお伝えします。

「マクロス」で重視した、二元論を超えた解決

河森さんの代表作であるマクロスシリーズでは、王道なロボットアニメの逆張りをすることで、新境地を切り拓いています。

荘厳な曲をバックにするのではなく、アイドルソングを戦いにも絡ませる。
国同士の戦いだけでなく、個人の三角関係を関わらせてみる。

スクリーンショット 2021-03-31 235708

そこには河森さんの、世界は正義と悪の2つでは分けられないという考えが反映されています。もっと複雑なものを、エンターテイメントとして見せていたのです。

分断がストーリーにした「ゲゲゲの鬼太郎」

大野木さんの脚本作品、ゲゲゲの鬼太郎では、まさに「妖怪と人間の分断」をベースに物語が展開していきます。

妖怪が見える女の子と、人間が好きな鬼太郎が、分断の両側から出会う。
実はその狭間の中心にいるのは、ネズミ小僧なんだといいます。
ずる賢く人間界で生き延び、分断の間でバランスを取っている。

妖怪と人間ほどの違いがなくても、嫌ったり批判したりするだけで、分断は簡単に作れてしまう。
大野木さんは脚本に、まさに分断をどう乗り越えるかを込めているのです。

スクリーンショット 2021-03-31 235838

お二人に共通するのは、難しいことを面白く描こうとする熱意でした。
楽しく見てもらえたらいい。いつかどこかで思い出してくれたらいい。
お二人のプロとしての矜持を強く感じさせられました。

今じゃ放送できない、「地球少女アルジュナ」

河森さん大野木さんの共作である「地球少女アルジュナ」。
大野木さんは対談のために観返して、「これを作って、しかも放送できたのは奇跡だったよね」と振り返ります。

スクリーンショット 2021-04-01 000254

「普通の女の子が、突然地球を感じる力を持ったら、どうなるだろうか」
これが出発点でした。
環境問題を丁寧に調べて作っていく中で、批判を浴びながら何度も練り直して、何倍もの労力をかけたそうです。

監督や脚本をされているお二人にとって、「敵と味方の両方を書くこと」こそが作品作りの面白さ。
どれかの立場に入り込んでしまわないで、公平に作っていくことが必要だそうです。
実はそれこそが、分断が叫ばれる今の社会で、誰しもに求められているものではないでしょうか。

アニメ大国日本ができること

日本のアニメが世界に広がった理由をお二人はさまざまに分析されています。

・デフォルメされたキャラクターたちは、実写作品と違って、文化の差を超えやすい
・子供でも大人でもない、海外のティーンエージャーに受け入れられている
・八百万の神という文化背景が、宗教による分断を抑えている

スクリーンショット 2021-03-31 235949

その中でも心に残ったのが、アニメの原型はパラパラ漫画であるということでした。
一つ一つが違った絵なのに、それを繋ぐことで動きを出している。実写ではむしろ、動いているものを切り分けて編集している。
分断されている絵を、人間は錯覚して、繋がって受け取ることができる。
だから分断を繋げることは、アニメの得意技なのかもしれません。


対談イベント、アンコール回のご案内!

当日はもっと様々なお話をお聞きしたのですが、やはり直接聞いてもらうのが一番!ということで
4/2 22:30からzoomにて、アンコール対談を行います!
完全無料にしてしまいました。ぜひ拡散協力もお願いします!

「物語と炎」の類似性

大野木さんは対談の最後に、ELPの活動とアニメを繋げて、エールをくださいました。

スクリーンショット 2021-04-01 000012


物語ることで、語り継がれていき、文化になっていく。
昔、炎を起こすのが難しかったからこそ、集団を繋いでいった。

世界を繋げるために、炎をテーマに物語を作っているELPの活動を、力強く応援いただいています。

炎を世界中一緒に観て、一緒に語り、歌い、宇宙に向けて放つ。
お二人にも注目頂いている、4/4 のキャンドルナイトのイベント、ぜひご参加いただきたいです!

学生たちの数年越しの悲願、引き続き、ぜひ応援お願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?