弔いの花は風に散って

昨日は君とはじめて
過ごすはずの誕生日

予約していたケーキ
らしくもなく花束を
買った僕は君の部屋
胸の鼓動に合わせて
早まる足を進めたよ

君の喜ぶ顔それだけ
見たかったんだ僕は

雲があっという間に
ビルの彼方へ飛んで
強い風にあっけなく
花びらが道に散った

夜の嵐が怖いと泣く
君の姿がふと浮かぶ

僕が側にいるいつも

抱きしめた体の熱さ
今も忘れる事はない

君の誕生日だった日
部屋の周りに集まる
人たちの顔と赤色灯

青いシートとそして
アスファルトに散る
ナイフとあかい血は
風に飛ばされた花だ

君を失うはずはない
暗闇を恐れてた君が
行くはずのない闇へ
彼方へ飲み込まれた

持っていたケーキを
落としたその先には
君の持っていたろう
エコバッグがあった

僕の好物で満たして
溢れそうなバッグを
見て僕は声を出して
泣いてしまったんだ

昨日ははじめて君と
過ごすはずの誕生日

永遠に君はそのまま
僕を残して攫われた
あの風に闇の彼方へ

【自己お題】

TM NETWORK 
WINTER COMES AROUNDの歌詞を使って

君を失うはずははい