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夢のはなし

記憶の断片とは違うかもしれないけど
僕には 良く観る夢がある。

まずは その夢のはなしを書いてみようと思う。


どこまでも続く
真っ白な空間。

360度 果ては見えない。

その空間に 僕はいる。

姿はないけど 意識がある。

真っ白な空間には
茶色の玉が 無数に浮かんでいて
それぞれが流れるように動いている。

夢を見る日によって
茶色の玉が速く流れてる時もあれば
留まっているときもある。

玉が止まって浮いているときは
僕の方が その空間のなかを
すごいスピードで動き回るんだ。

ただ それだけの夢。


こうして言葉にすると 
大したことなさそうに見えるけど
この夢を見ると
怖くて怖くて
汗だくになって目覚める。


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いつだったか なじみの居酒屋のカウンターで
いつものように一人で飲んでいたら
見慣れない客が来て 徐に僕の隣に座った。

他にも空いてる席があるのに?

不審に思って そいつの様子を観察してみた。

40代くらい?
仕事帰りなのか スーツではないけどきれいめの恰好。
瓶ビールを手酌でちびりちびり呑んでいる。

「何かついてますか?」

ふいに声をかけられて ばつが悪くなった。

ここは素直に謝ろう。

「すいません、氣分を悪くしてしまいましたか?
一見さんが来るのがめずらしくてつい。」

「あら、失礼ね。」

カウンターの奥で女将がぷいっとした顔で言った。

「そうでしたか。」

「ええ。」

「今日は出張でこの辺りに来たもんですから。
なんとなくこのお店の看板に惹かれてね。」

話し方も声も感じがよく 悪い人ではなさそうだ。

「わたしは 夢の研究をしてまして。
今日はこちらで同じ研究者との会合があったのですよ。」

「夢の研究?」

「おかしいですよね。いい年をした大人が夢の研究をしてるなんて。
仕事というより 自分の好奇心と探求心が止められなくてね。」

そう言って 男性は少しはにかんだ。






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