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あの森のはじまりの場所

大好きなあの森の見える席に着く。

「ブレンドコーヒー ひとつ。」

始めて入ったカフェ。

森を訪れるたびに 気になっていた場所。

今日は勇気を出して 時の流れを感じさせるドアを引いてみた。

カランカラン。

懐かしい音がした。

店内にいるのは
今主流のカフェでは浮いてしまうような
客ばかりだ。

皆 思い思いのことをしている。

分厚い本を開いたり
タバコをふかしたり
新聞を読んだり。

まるで一昔前の喫茶店にいるみたいだ。

森を眺めながら 
出てきたアンティークのコーヒーカップでコーヒーを飲むと
もう ずっとこの店に通い続けてたような錯覚に陥る。

ここが落ち着くということは
僕もカフェに行ったら浮いてしまう人種なのだろうな。

なぜここに来たかって?

僕は 今日から
この喫茶店に通って
ある物語を書き綴っていきたいと思ってる。

記憶?

なのだろうか

ときどきぼんやり 浮かんでは消える
記憶の断片のようなもの。

パズルのピースみたいで
ストーリーは良く分からない。

そもそも 身に覚えのないことばかりで
自分の記憶なのかも確信が持てない。

昔から 時々見ていたが
最近では 脳裏に頻繁に現れるようになった。

思い出そうとすると 忘れてしまう。

つかもうとすればするほど 曖昧になって消えてしまう。

なんとなく それらを断片でもいいから 
少しづつ書き出していってみようかと思ったんだ。


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