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【戦評】快投・西口直人が宗佑磨に2ランを浴びた「真の理由」~9月30日●楽天3-5オリックス

伏兵右腕の鮮烈デビュー

2016年の楽天ドラフト10位。
同年のドラフトで12球団支配下指名で最後に名前をコールされた「伏兵右腕」による見事なデビュー劇になった。

途中から本降りになった雨中戦でもなんのその。
打者に向かっていく闘志が明確に見えたナイスピッチングだった。

テンポの良さが光った。
その小気味よさは、大城や宗ら敵軍の複数打者にたまらずタイムを取らせるほど。

驚かせたのは球威のあるストレートだ。
ホップ型の真っすぐでぐいぐい押して主導権を握っていく投球で、前日18安打を放った敵打線を7回散発2安打、2塁を踏ませない好内容をみせた。

そんな西口に、味方打線も幸先の良い援護点をプレゼントしていく。

初回は2番・オコエのバットが火を噴いた。
弱点の内角速球に上手く対応した先制2号ソロ。
器用に腕を畳んで「抜群のタイミング」で振り抜いた打球は、左翼スタンドへ到着した。

翌2回には女房役の8番・堀内が必死の槍働き。
左腕・松葉との「左vs左対決」で右肩を開かず体勢を維持しながら、右前へ運ぶ貴重なタイムリー。
スコアボードに早々に2点を入れ、西口を勇気づけた。

投打がかみ合えば、バックを守る野手陣も「好守連発」。

初回には1番・宗の三遊間ゴロ突破の左前ヒットコースを、村林が球際で追いついて遊ゴ処理。
続く2番・福田が流し打った左前フライヒットコースを、島内が懸命に前進して球際スライディングキャッチ。

ハイライトは5回1死だった。
8番・安達の左中間塀際を襲った快飛球を、ルート効率良く追いかけた田中が背走ジャンピングキャッチで長打を阻止。
攻守に西口を盛り立てるその姿は、9/19オリックス戦(○E6-3Bs)で田中と新人王を争う山本を攻略し、3点差をひっくり返す逆転勝利を決めたあの時の雰囲気を彷彿とさせた。

3回裏の終了時には4年ぶりにカラスコが本拠地を襲撃。
人気のヒール役が大いに盛り上げるパフォーマンスも、西口デビューゲームに色を添えるものだった。

デビュー登板で「則本越え」最長7回2/3

球数少なく7回を85球で投げきった西口は翌8回も続投。

2死まで漕ぎつけ、日本人では2008年の大場翔太(ソフトバンク)以来、10年ぶりの快挙となる『プロ初登板・初先発・初完封勝利』も!
そんな矢先の2死1塁、1番・宗に内角135キロ速球を振り抜かれて同点の右越え2ランを浴び、その後に降板した。

◎楽天歴代生え抜き投手のプロ初登板・初先発時の投手成績

最後の最後でプロの洗礼に遭ったが、7回2/3での2失点は、みごともみごと!
楽天生え抜き投手のプロ初登板・初先発でハイクオリティスタートを記録したのは、西口が球団史上初である。

1年目の昨年3/9、春季教育リーグのロッテ浦和球場。
現地で目撃した僕を大いにざわつかせた4回ノーヒット10奪三振無失点。
あの快投の衝撃が甦るポテンシャル秘めた85球になった。

ゲームは3点目以降の加点ができなかったことが響いた。
4回1死2,1塁で右飛時にタッチアップ2塁を狙った一走・堀内の走塁死、5回は無死1塁で田中が牽制死、53打点中22打点を9月に稼いでいる4番・ウィーラーもチャンスで投ゴに倒れるなど、もったいない形で逸機した。

2-2の振り出しに戻ったゲームは翌9回、三番手・高梨がつかまり、結局、3-5で破れている。

両軍のスタメン

オリックス=1番・宗(中)、2番・福田(二)、3番・ロメロ(指)、4番・吉田正(右)、5番・中島(一)、6番・T-岡田(左)、7番・大城(三)、8番・安達(遊)、9番・飯田(捕)、先発・松葉(左投)

楽天=1番・田中(中)、2番・オコエ(右)、3番・島内(左)、4番・ウィーラー(指)、5番・銀次(二)、6番・今江(一)、7番・内田(三)、8番・堀内(捕)、9番・村林(遊)、先発・西口(右投)

目を見張ったオコエの内角撃ちホームラン!

9/14に1軍再登録時、いきなり2戦5安打4得点2打点の活躍をみせたオコエ。
しかし、9/16~9/25は27打数1安打と調子を落としていたが、本戦の2安打で9/27以降は4試合連続ヒット。ここへきて復調気配だ。

中前シングルヒットコースを俊足飛ばした好走塁でツーベースに変えた5回第3打席もみごとだったが、やっぱり、初回の先制2号ソロが凄かった。

オコエの弱点、内角球を仕留めた当たりだったからだ。
もっと言えば、オコエは『内角狙い・内角到達球』に弱い。


外角や真中狙い・内角到達球は制球狂った失投が多いため、球威に乏しく、オコエもそこそこ対応できる。

しかし、投手が内角を狙って、内角に投げ切った球に対しては、ほとほと弱かった。

当該戦績は以下のとおり、、、

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