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【虎に翼】第64話(ネタバレあり)6月27日感想

まず最初に、私は今週の【虎に翼】を誤解していた。
昨日、水曜日まで見た段階で、

「そうか今週は中だるみ週か」

と思っていた。

先週、重要人物だったお母さんが亡くなってしまって、かなりの衝撃を喰らった人も多かったことだろう。お母さんロス(はるさんロス)からまだ立ち直れていない人もいるだろう。そのくらいの大きな出来事だった。

で、今週はどう展開するのかと予告を見ながら楽しみにしていたわけだけど。先週までの小気味良いテンポに比べて失速した感が否めなかった。

月曜日から始まった大庭家の遺産相続について、

・なかなか話が進展しない
・話が暗い
・概ね既定路線で先が予想できる

という感じで。
それで昨日(水曜日)まで見た感想が、冒頭の
「そうか今週は中だるみ週か」だったわけだけど。

4月から放送が始まって、今は6月の終わり。9月に終了するまでのちょうど真ん中あたりだ。中だるみで間違いないだろうと確信した私は、ある意味何気ない気持ちで、先週までと違って何も構えず、ぼーっと今日の放送を見ていた。


寅子、ラジオに出演

寅子が多岐川さんと一緒にラジオに出演した。
家庭裁判所について話すためだ。

「判事補の佐田さんの元にも、連日かよわいご婦人が相談に来られていると…?」
と話を振られた寅子は、

「ご婦人をかよわいとは思っておりません。
裁判所を訪れるご婦人は世の中の不条理なこと、つらいこと、悲しいことと戦ってきた、戦おうとしてきた、戦いたかった方たちです。
それが法律が変わり、家庭裁判所ができて、やっと戦うことができる、報われることができる、誰かの犠牲にならなくて済むようになった。
私は女性たち自ら、自分の幸せをつかみ取ってほしいと心から祈っていますし、そのお手伝いができたらなと常々思っております。」

と答える。

寅子のまっすぐな気持ちだ。
今まで通り。何ら変わりはない。

今日(第64話)の話は、寅子のこのセリフに全て詰まっていた。


光三郎の裏切り

梅子の三男(光三郎)が、父親の妾だったすみれとデキていたことを知ってしまった寅子。
あまりの出来事によねと轟の元へ相談に行くが、よねは
「諦めろ、どうあがいてもあいつは傷つくしかない」
と言い放つ。

手塩にかけて育ててきた三男にまで裏切られてしまったら、梅子さんはもう立ち直れないかもしれない。でも今週は中だるみ週だからこういう展開にでもしないと話が進まないのかな、などと相も変わらずぼけーっとテレビを見ていた私。

そして大庭家一同(と、よねと轟)が会し、光三郎とすみれを詰める。
ここで光三郎の気持ちを聞かされる梅子。

お人よし過ぎる光三郎だから、すみれに騙されてるのかもしれないと心配するわけだけど、光三郎の口から出たのは、

「仕方ないじゃないか、好きなんだ」

という言葉。

すみれがこうやってしか生きてこられなかったことも、
長年父親の妾だったことも承知のうえで、

「僕が彼女を幸せにしたいんだ」

と言うのだ。

こんな世間知らずの、いいとこの坊っちゃんの、一時の気の迷いみたいな、バカみたいな言い分を聞いて、よねは思わず「クソ」と言ってしまう。

それはもちろん光三郎に向けた言葉だったけど、どうにもやるせない気持ちや、やっぱり傷つくしかなかった梅子の気持ちの代弁でもあったと思う。

そして光三郎の言葉どおり、好きになってしまったのなら仕方がないことだった。それ以上何を言っても無駄なのだ。

結局、子どもってのはどれだけ愛情を込めて一生懸命育てたとしても、親の思うようには育ってくれないってこと。
それにいつまでも母親が息子にくっついて一緒にいられるわけではないってことなんだ。

とは言え、光三郎の言うとおり、
「こうでもしなければ生きられない女性」が世に溢れていたのも事実だったし、母親を置いてすみれと駆け落ちしてしまうことはあまりに梅子が「不憫」に思えるのも事実だった。

一方ですみれの言うように、
「母親に寄りかかられた光三郎のほうが不憫だ」というのも、他人から見たらそう見えるのかもしれないし、今まで可愛がって育ててきたと思っていたけれど、三男はずっと、とんでもない圧を感じて生きていたのかもしれないのだ。


白旗という名の勝利

この修羅場で、いよいよ先週末の予告で見た梅子さんのあの不気味な高笑いですよ。

今まであんなにおっとりと、小さな声で話していた梅子さんが、
大口開けて笑うんですよ。

「アハハハハ!アハハハハハハハハ!」

こわい。こわすぎる。

「もう駄目、降参。白旗を振るわ」

と、突然の白旗宣言。

そして、結婚も家族の作り方も、息子たちの育て方も。妻や嫁としての生き方も全部失敗だったと言う。

「私はすべてを放棄します!
相続分の遺産も、大庭家の嫁も、あなたたちの母としての務めも、ぜーんぶ捨ててここから出ていきます!」

と、きっぱりと言い放ったあと、民法730条を誦する。

「直系血族、及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」

もう私は関係ないから。他人になるからね。
と、高らかに宣言したのちに、
だから「お義母様のことは兄弟3人で話し合いなさい」と突き放す。

「お互い誰かのせいにしないで、自分の人生を生きていきましょう」と。

そして特別大きな声で、
お役御免と言わんばかりに飛びきりの笑顔で

「ごきげんよう!」

なのである。

こんな白旗に見せかけた大勝利ある?

「どうあがいたって傷つくしかない」と思っていたはずの梅子さんの、これほどまでの気持ちの良い去りかたに、あのよねさんでさえニンマリしてしまうのだ。

梅子さんはもう充分に、戦ってきたのだ。
もうこれ以上誰かの犠牲になる必要なんかないし、自分の幸せのために生きていいんだ。

しかもこれ、ほんとにただ放棄して全力でババアやめんどい大庭家を振り切って逃げたってわけじゃなくて、きちんと息子が立派に(かどうかは置いといて)育ったのを見届けたっていう側面もあって。梅子さんは光三郎の決めた生きかたを最大限尊重したんだよね。そして、長男も次男も、なんだかんだ言ったってきちんと(ではないにせよ)育っていることを確信しているんだよね。

いざ梅子さんがいなくなると分かって、息子たちは急に目が覚めたかのように自分たちの置かれた立場を理解する。

だからこそ、梅子さんが遺産放棄したあとには兄弟は3人揃って等分で相続することに合意したし、おばあちゃんの面倒だってきっと助け合って見ていくことになる(ならないかもしれないけど。それもまあババアの自己責任よ)。これは梅子さんがいなくなったことで、皮肉にもすべてが上手くいったとも捉えられるけれど、梅子さんはそれすら織り込み済みだったんじゃないかな。



竹もとの営業再開

竹もとが営業を再開したのだ。以前より少し小さくなったかもしれないけれど、戦前からの、みんなの思い出の詰まった憩いの場が復活したのだ。
こんなに嬉しいことはない。

ここで寅子と花江、梅子がまた一緒にお汁粉をいただく。

「法律は使いかた次第だわね」

と笑う梅子さん。

毎日を当たり前に生活できている人間には気づきにくいことかもしれないけれど、
法律のたったの一文が、
誰かを苦しめてしまっているかもしれないし、
誰かを救ってくれるのかもしれない。

そうだ、あの頃に戻ることは決してできないけれど、
あの頃のように、同じ気持ちに戻ることはできるんだ。

ああ、中だるみだなんて思ってしまってごめんなさいいい(土下座)。
こんなにスカッとスキッとした話をありがとう。

そして、愛のコンサートの出演者は
「福来スズ子」ではなくて「茨田りつ子」でしたね!

スズ子が歌う「東京ブギウギ」を【虎に翼】でも見てみたかったけれど、でも茨田さんが出るとは予想外だったな。それにしたってどちらにせよスゴイことですよね!楽しみ!

私ってほんとに単純でいい視聴者だなと、
まんまと一喜一憂しながら思ったのでした。


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