詩|おまつり・独り
題|おまつり・独り
赤い金魚は独りっ娘
にぎわう街のおまつりで
居場所を知らない独りっ娘
提灯のきらめく明るさも
屋台の楽しいにぎわいも
浴衣のいろめく明るさも
道ゆくの人のにぎわいも
金魚にとっては向こう岸
おまつりと
川を隔てた
そのさきで
一人ぼっちの赤い金魚は
さみしいさみしい海の底
一人ぼっちのおまつりは
さみしいさみしい誰の声
群れの中浮く赤い金魚が
静かに静かに泣いている
とても楽しいおまつりで
周りの魚に取り残された
黒くて硬いアスファルト
待ちぼうけで立たずんで
血がにじんだ足の先
硬さを感じた足の裏
静かで悲しい、鈍い痛み
遠いぬくもりを思い出し
おまつりの後の切なさを
しょいこみ帰る、赤模様
赤い金魚は独りっ娘
にぎわう街のおまつりで
居場所を知らない独りっ娘
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